第108話 観測者の憂鬱

文字数 1,362文字

 私はアレクサンドラ・アルバビロニア。

 エルブリタニア帝国第3皇子、ビクトリアス・エルブリタニア殿下のなんちゃってメイド長をしています。

 現在は影ながら殿下の観測をしています。

 これも全て愛しのアリスの為です。

 うふふふふふ、アリスは喜んでくれるかしら...。


 殿下はまたまた修行の旅に出られた。

 そう、十の災厄(アンタッチャブル)の7体と弟子の2人と新たに従者と為った道化の11名で旅に出られた。

 そして、レクリア王国でジューダス・レイピースなる

レクリア王国銀狐騎士団の騎士を仲間に加えた。

 そのついでにスピカのプロピーナ騎士団、カペラの遊撃強襲部隊、通称《カルボ》を敗走させた。

 なんて良い出来ごと(イベント)だ、カキカキ。


 継いで、ミダス王国でグリスティス・オールバなる

ナリス王国の青銅騎士団団長を仲間に加えた。

 ご丁寧にその団長の一族を隣国アクリオンまで避難させてだ。

 そのついでにデネブ王国の白鳥騎士団を敗走させた。

 なんて良い出来ごと(イベント)だ、カキカキ。


 翌日は、リゲル王国の西方諸国遠征軍が再度来襲!

 ブチ切れた十の災厄(アンタッチャブル)に依って殲滅された。

 リゲルの指揮官は阿呆なのだろう。

 まあ、二度目を許す殿下達ではない。

 業と気絶させている意味を理解しない、阿呆に率いられた軍勢ほど悲惨なものはない。

 なんて良い出来ごと(イベント)だ、カキカキ。


 数日するとナリスの国境付近で、アラート・レーベルなる

ミダス王国の戦士団の兵士を仲間に加えた。

 ついでにシリウス王国軍5000を敗走させた。

 なんて良い出来ごと(イベント)だ、カキカキ。


 え、ベガ王国軍もやっちゃうんだ?

 容赦がないな、殿下は...。

 本国へ帰国中のベガ王国軍が、グリスティス・オールバに気付き引き渡しを要求してきた。

 それをあっさりと断った殿下に襲いかかったベガ王国の騎士は、黒獣に依りあっさりと天に召された。

 殿下の帽子と化すエクスの逆鱗に触れた憐れなベガ王国の騎士は、ここでお亡くなりになって幸せだったろう。

 己の失態の所為でベガ王国軍が敗走の憂き目にあったとなれば、責を取らされて首は飛ぶだろうからな。

 なんて良い出来ごと(イベント)だ、カキカキ。


 実質、西方諸国連合軍を十数人で破った殿下の武勇伝は、アルグリア大陸全土に鳴り響くだろう。

 だって、負けた数万の兵士が噂を広めてくれる。

 業と生かされた事実と共に...。

 そして、その事実故に西方諸国連合の後ろ盾であるアッバース王国は動くだろう。

 エルバビロニア帝国との戦争が始まる。

 なんて良い出来ごと(イベント)だ、カキカキ


 ほう、次の目的地はアッバース王国の王都イブンへ行くのか。

 殿下は私を飽きさせない。

 アリスも私の日記を見て笑ってくれるかしら? ...それだけが憂鬱かな。


 私の可愛い可愛いアリス。

 私はあなたさえいれば他には何もいらない。

 ああ、私の可愛い可愛いアリス。

 あなたが望むなら私は何でもしてあげる。

 うふふふふふ。
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