第100話 西方に吹く風

文字数 1,230文字

『ビズ、遣っておしまい!』

 フンスと鼻息荒いシスの見えない筈の姿が見える...。

 僕達の

調



 只、西方諸国の軍隊が僕達に絡んでくるけどね。

 現在、アルグリア大陸の西方の国々では戦争が起こっている。

 古のクローマ王国から分かれた西方三国のミダス王国・ナリス王国・レクリア王国が、周辺諸国からボコボコにされている状況だ。

 シス曰く、北西に位置するアッバース王国の思惑が働いていて、クローマ王国の正統なる後継者が西方三国を再統一するんだそうだ。

 そして、クローマ王国を再興するとの説明だった。

 そのアルグリアの歴史に残る西方の戦いに僕達はお忍びで、勧誘の旅に来ている。

 僕とシスの“夢”の為には、多くの人の協力が必要だ。

 その為に、有用な人材を確保する為に

、西方を旅している。


「貴方は、一体何者なんですか?」

 そう驚愕の表情で僕に質問する傷だらけの騎士に僕は、何時ものポーズで何時もの言葉を紡ぐ!

「僕が“何者”だって? 僕はジューダス・レイピース、お前の願いを叶える者だ!」

 ああ、恥ずかしい。

 何故、僕がいつも同じポーズで、同じ言葉を言うのか?

 それは、シスに言わされているからだ。

 シス曰く、“決め言葉”が大事なんだそうだ。

 何に大事なの? それってシスの拘りだよね?

 凄く恥ずかしいので、別の言葉はないのかシスと交渉したよ、僕。

『良い、ビズ? 私の知識量はビズより半端ないの(プレイヤー数千万人分の経験)よ。今までビズの為にならないことを私はしたかしら?』

 うぐっ、そう言われると僕はシスに反論出来ない。

 だって、いつもシスは僕を助けてくれた。

 一人ぼっちの僕を、あの部屋から出してくれた。

 うん、シス。

 解ったよ、シスは僕の相棒だ。

 そのシスの言うことなら間違いない。

 うううっ、でも凄く恥ずかしいよ僕...。


「僕が“何者”だって? 僕はグリスティス・オールバ、お前の願いを叶える者だ!」

 僕は目の前で跪く歴戦の騎士であるオールバ卿に告げる。

「我が一族をお救い下さい!」

 そう願うオールバ卿は、精も根も尽き果てる間際のように見えた。

 オールバ卿に付き従う50数名の者達も皆傷ついていた。

「レディ!」

 そして、何時もの行動をする僕。

「はっ! お任せ下さい!」

 そう、レディに丸投げだ...。

 レディは凄い。

 名前を呼ぶだけで、僕が言いたいことを理解する。

 そして、適切な提言をしてくれる。

 僕はその提言の中から選ぶだけだ。

 凄く助かっている。

 但し、レディには困ったことがある。

「お忍びの意味知ってますか?」

 知ってるに決まってるよ!

 もう、どうして何時もレディは僕に当たり前の質問をするの?

 たくっ、レディは本当に困ったちゃんだ!
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