第166話 繋がりは、大きな環となりて!

文字数 1,347文字

『やっぱりね! ビズ、異端者(イレギュラー)よ!』

 シスが興奮した様子で、僕に告げる。

 シス、異端者(イレギュラー)って何?

『簡単に言うとビズ、あなたと一緒の分類に()るわ!』

 僕と一緒? 僕って異端者(イレギュラー)なの?

『アルグリア大陸の異端者と言葉は同じでも、意味が違うわ! イレギュラー、通常起こりえない例外な存在って言う意味よ!』

 ええ~! 僕って例外な存在だったの? 

 何か仲間はずれみたいで、嫌だな~!

『はぁ~、そう言うことではなくて、私の声が聞こえる存在は、プレイヤーだけなの! 此のアルグリア世界の生き物には、私の声は聞こえない! 其れなのにビズ、あなたは私の声も、想いも聞こえる存在だってこと! つまり、特別な存在なのよ!』

 へぇ~、そうか特別な存在か、何か悪くないかも? えへへへ!

『暢気なことを言っている場合じゃないわ! 見て、たった一人で他国の軍2000名を全滅させたのよ? 良い、確りしてビズ!』

 えっ、2000人位なら、(みんな)簡単に全滅出来るよね?

『ビズ、あなたの仲間は、(みんな)規格外なのよ! 他の人と比べて良い存在じゃないの! 解った?』

 解ったよ、シス! そんなに怒らないでよ!

 でも、此のバルクル・ラグーンって王様、魔力枯渇でお亡くなりに為りそうだけど、助けなくて良いの?

『そうね、バルクル・ラグーン。他の並行世界(パラレルワールド)では、職業は商人で、決して現在(いま)の職業【迷宮主(ダンジョンマスター)】ではないのよ! 一体(いったい)如何(どう)()っているのかしら?』



 パチパチパチ、・・・・・・



「うっ、う~ん! こっ、此処(ここ)は?」

 あっ、王様がお目覚めのようだ!

「やぁ、もう身体は大丈夫?」

 僕が声を掛けると、王様は怪訝な様子で辺りを見回し、焚き火に身を寄せた。

 其れから状況が解ったのか落ち着いて、僕を見たのだった。



「助けて貰ったようだね、ありがとう! 私の名は、バルクル・ラグーン。此の国の国王だ。たった一人で出歩く変な国王だけどね! はっはははは~!」

 ぶっ! 自分で言ってれば世話はないよねシス!

 何か面白い王様だなぁ。

『暢気なこと言ってないで、真相を聞き出すのよ!』

 解ってるよ、任せてよシス! 

 此れでも、場数を踏んできているからね!



「変な王様だって言うことは解ったよ、バルクルさん! 初めまして、僕の名は、ビクトリアス・エルブリタニア! 実はバルクルさんに聞きたいことが有ってきました! バルクルさんは、如何(どう)やって、【迷宮主(ダンジョンマスター)】に為ったの?」

 僕が気楽にそう聞いたら、変な王様は突然厳しい顔をして、僕を睨んだんだ。

 えっ、何か僕悪いこと言ったかな?

『・・・・・・(行き成り、確信を付いて如何(どう)するのよ! ほら、警戒しちゃったじゃない! もうビズたらっ! もう!)』

 あ、あれ? 何かシスもご機嫌斜めだ! 僕は何かを間違ってしまったらしい!







 残念な天然さんは、今日も平常運転だった。
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