第35話 助けて
文字数 1,890文字
我はバジュマエル・ガルバ。
エルブリタニア帝国、隠密機関『隠者の手』の統括者である。
日々他国との情報戦で凌ぎを削る我等に現在、
事の始まりは
もう一度言う、第1級特務指令を発した。
指令名『紅玉 を守れ』で、エルブリタニア帝国第3皇子、ビクトリアス・エルブリタニア殿下を影ながら護衛し、必ず無事に殿下を帝国へお戻しすると言う内容だ。
まあ、こう言っては何だが12才の子供の修行遊戯如きで、何を大袈裟なと我を始め誰もが最初はそう高を括っていた。
だが観察者として紅玉 に付けた我が隠密機関の誇る凄腕工作員、暗号名『オピニオン 』が驚きの報告書を毎日送ってくる。
え、殿下に接触した? 何言ってんだコイツ? 尾行初日で失敗したのかと我は目を疑うも、報告内容を読むと致し方なしであった。
その内容も12才の子供に出来る事ではない。
紅玉 は異常だと言う認識が、我等組織で共有した瞬間だった。
え、世界樹の森へ侵入した? 何言ってんだコイツ?
そこは活動禁止領域だぞ! え、黄金竜に会った? 何言ってんだコイツ?
世界樹の森に黄金竜が居る訳ないだろ! ヤバいオピニオンが壊れたか。
え、禍蛇って番の蛇だった? 何言ってんだコイツ?
正気か十の災厄 に会ってただで済むはずがない、呑気に報告などしている場合か!
え、えええええ!十の災厄 の一角、《禍蛇》を倒しただって!? 何言ってんだコイツ?
ヤバいを通り越して遂に頭が逝っちゃったか?
これはオピニオンが狂ったのか、はたまた我等が狂ったのかと報告内容を疑う日々が続いた。
もちろん直ぐに複数の追跡観察者を派遣したが、禁止領域での活動は女皇帝陛下と元老院の裁下が必要だ。
そこで直ぐ女皇帝陛下と元老院に報告し裁下を仰いだが、驚くべき事に現在殿下の供をしているオピニオン以外は全員引き揚げろとの命令が下された。
もちろん、詳細を我等が知る事はない。
まあ、よくある事だ。
宮仕えの悲しさよ。
え、えええええ!十の災厄 は倒しても1日で蘇るだって? 何言ってんだコイツ?
え、えええええ! 今度は《黒獣》を倒した? 何言ってんだコイツ?
え、えええええ! 復活した《黒獣》と紅玉 が友達になった? 何言ってんだコイツ?
そして、我は燃え尽きた。
いや、現実逃避して燃え尽きたかった。
だが事態は激変する。
え、嘘だろ? 嘘と言ってよオピニオン!
《黒獣》が紅玉 とアルバビロニア大帝国の帝都プロローズに立ち寄り、市場で観光して冒険者ギルドで冒険者登録するだと! 正気か? 《黒獣》だぞ、“漆黒の闇”だぞ。
十の災厄 は全て
何故なら、他の十の災厄 の神罰は時間が経てば破壊された自然も人々も元通りとは言わないが徐々に復興してくる。
しかし、《黒獣》だけは違う。
1度その“漆黒の闇”に飲まれたら、永遠に“漆黒の闇”のままだ。
我は気を失いたかった、現実逃避して気を失いたかったんだあああああ!
どうした配下よ? 何故我を拘束する? 大丈夫だ、まだ大丈夫だ!
え、少し寝てくれだって? おいおい、おい。
この状態で寝れる訳ないだろ! 待て、待て、待て。落ち着け、落ち着け、落ち着くんだ。
ガン! 我の頭に衝撃と衝撃音が鳴り響き、我は意識を失った。
はっ! 意識を取り戻した我に事の発端である第1級特務指令を命じた
「お疲れ、弟子1号。安心しろ、アルバビロニア大帝国は健在だ。少し休め」
ぎゃあああああ! 嘘だ! 嘘だ、嘘だ! 師匠が我に微笑むだと?
有り得ぬ、有り得ぬ、有り得ぬ!
師匠が我に休めだと?
有り得ぬ、有り得ぬ、有り得ぬ!
ガン! 我の頭に衝撃と衝撃音が鳴り響き、我は再び意識を失った。
我はバジュマエル・ガルバ。
エルブリタニア帝国、隠密機関『隠者の手』の
エルブリタニア帝国、隠密機関『隠者の手』の統括者である。
日々他国との情報戦で凌ぎを削る我等に現在、
史上最大の危機
が訪れていた。事の始まりは
ある方
からの任務命令
で、仕方なく我は第1級特務指令を発した。もう一度言う、第1級特務指令を発した。
指令名『
まあ、こう言っては何だが12才の子供の修行遊戯如きで、何を大袈裟なと我を始め誰もが最初はそう高を括っていた。
だが観察者として
え、殿下に接触した? 何言ってんだコイツ? 尾行初日で失敗したのかと我は目を疑うも、報告内容を読むと致し方なしであった。
その内容も12才の子供に出来る事ではない。
え、世界樹の森へ侵入した? 何言ってんだコイツ?
そこは活動禁止領域だぞ! え、黄金竜に会った? 何言ってんだコイツ?
世界樹の森に黄金竜が居る訳ないだろ! ヤバいオピニオンが壊れたか。
え、禍蛇って番の蛇だった? 何言ってんだコイツ?
正気か
え、えええええ!
ヤバいを通り越して遂に頭が逝っちゃったか?
これはオピニオンが狂ったのか、はたまた我等が狂ったのかと報告内容を疑う日々が続いた。
もちろん直ぐに複数の追跡観察者を派遣したが、禁止領域での活動は女皇帝陛下と元老院の裁下が必要だ。
そこで直ぐ女皇帝陛下と元老院に報告し裁下を仰いだが、驚くべき事に現在殿下の供をしているオピニオン以外は全員引き揚げろとの命令が下された。
もちろん、詳細を我等が知る事はない。
まあ、よくある事だ。
宮仕えの悲しさよ。
え、えええええ!
え、えええええ! 今度は《黒獣》を倒した? 何言ってんだコイツ?
え、えええええ! 復活した《黒獣》と
そして、我は燃え尽きた。
いや、現実逃避して燃え尽きたかった。
だが事態は激変する。
え、嘘だろ? 嘘と言ってよオピニオン!
《黒獣》が
不可避の神罰
と言われる天災級の災害だが、《黒獣》だけは一線を画す。何故なら、他の
しかし、《黒獣》だけは違う。
1度その“漆黒の闇”に飲まれたら、永遠に“漆黒の闇”のままだ。
我は気を失いたかった、現実逃避して気を失いたかったんだあああああ!
どうした配下よ? 何故我を拘束する? 大丈夫だ、まだ大丈夫だ!
え、少し寝てくれだって? おいおい、おい。
この状態で寝れる訳ないだろ! 待て、待て、待て。落ち着け、落ち着け、落ち着くんだ。
ガン! 我の頭に衝撃と衝撃音が鳴り響き、我は意識を失った。
はっ! 意識を取り戻した我に事の発端である第1級特務指令を命じた
師匠
が微笑みこう言った。「お疲れ、弟子1号。安心しろ、アルバビロニア大帝国は健在だ。少し休め」
ぎゃあああああ! 嘘だ! 嘘だ、嘘だ! 師匠が我に微笑むだと?
有り得ぬ、有り得ぬ、有り得ぬ!
師匠が我に休めだと?
有り得ぬ、有り得ぬ、有り得ぬ!
ガン! 我の頭に衝撃と衝撃音が鳴り響き、我は再び意識を失った。
我はバジュマエル・ガルバ。
エルブリタニア帝国、隠密機関『隠者の手』の
元
統括者である。