第139話 シルフィは風に舞う
文字数 1,473文字
我はアルバルバ・イルガリア。
イルガリア王国の
イルガリア共和国の建国式典に参加した。
其れは、イルガリア王国を護れなかった、我の最後の職責だと判断したからだ。
式典には、我と同じく国を無くして、責を解かれた元国王達の姿もあった。
そして、此の革命を主導した【稀代の革命軍略家】シル・ミケラン。
自らを演劇の役者と称する此の男は、覇気を全く感じない男だった。
隠しているのか本性を、何故? もう隠す必要も無いのに?
此の男は謎に包まれている。
此の一連の革命全てが、此の男の指揮で行われた。
協力した我が愚息も、各国の王子達も、此の男の駒に過ぎない。
共和制となった故は合議による政治が為される。
此の男の勝手には為らない。
シルフィ族でありながら、シルフィ族の国を革命で滅ぼし、再生へと導くのか?
此のシル・ミケランとは、一体何者なのであろうか?
我はシルフィ族の新たな国に、別れを告げ、サルナ王国へと足を向けた。
何でも、此の革命による動乱に乗じて、タックロ王国へ侵攻をしたサルナ王国は、路傍の石として蹴散らそうとした石に、ボコボコにされたらしい。
嘘か真か、3000の軍勢が、十数人の者達に敗れたらしい。
ふっ、そんな話は聞いた事は、......あったな? 何処でだろう?
そうそう、クローマ王国の再興に協力した西方諸国連合軍25000名が、同じく十数人の者達に敗れたとか。
ふっ、愉快、愉快! 其れこそ、夢物語ではないか!
我はシルフィ、自由に生き、自由に死ぬ、只のシルフィだ。
う、うん? 如何したんだ?
我が街道を進んでいると、前方で争いの喧噪が聞こえる。
盗賊が、旅の者を襲っているのか?
共和制に移行され統治の仕組みの変更の隙間に、街道には盗賊・野盗が幅を利かせ、溢れ出した。
では、助けに行こうか。
え? 大丈夫かって? さあ、其れは風にでも、聞いてくれ! 我は風のように自由に生きる者だ!
「「「に、逃げろ~! 化物だ~! 逃げろ~!」」」
我が駆け付けようとすると、前方から明らかに盗賊・野盗の類いだと解る者達が逃げてくる。
だが、其の者達は、我の前に辿り着く前に、氷像のように足元から、氷始め、やがて凍り付く。
一体如何したと言うのだ?
我は慎重に、慎重に前へ進んでいく。
そして、其処には盗賊・野盗の類いの屍が累々と横たわっていた。
こんなにも多くの盗賊・野盗が居る筈も無く、此の者達は、シルフィ族の国に雇われていた傭兵だと理解した。
其の傭兵達を返り討ちにした集団が、我の目の前に居る。
変わった集団だった。
観察するに、集団の統率者は幼いと言って良い年頃のエルフの少年だった。
其の少年の頭には、何故か黒い猫が乗っている。
あれはフューダー大王国の武人が着る鎧に似ている。
くっ、何だ! 此の威圧感は、王族であった我でも、跪きそうになる圧力に驚愕する。
此の者達は一体何者なのだ?
我が其の集団を見つめていると、件のエルフの少年が、頭に猫を乗せたままやって来て、こう言った。
「こんにちは、初めまして、僕ビクトリアスと言います。あなたを待っていました。良かったら僕達と一緒に旅をしませんか、アルバルバさん?」
我はアルバルバ・イルガリア。
風のように自由なシルフィで、只の旅人だ。
イルガリア王国の
元
国王である。イルガリア共和国の建国式典に参加した。
其れは、イルガリア王国を護れなかった、我の最後の職責だと判断したからだ。
式典には、我と同じく国を無くして、責を解かれた元国王達の姿もあった。
そして、此の革命を主導した【稀代の革命軍略家】シル・ミケラン。
自らを演劇の役者と称する此の男は、覇気を全く感じない男だった。
隠しているのか本性を、何故? もう隠す必要も無いのに?
此の男は謎に包まれている。
此の一連の革命全てが、此の男の指揮で行われた。
協力した我が愚息も、各国の王子達も、此の男の駒に過ぎない。
共和制となった故は合議による政治が為される。
此の男の勝手には為らない。
シルフィ族でありながら、シルフィ族の国を革命で滅ぼし、再生へと導くのか?
此のシル・ミケランとは、一体何者なのであろうか?
我はシルフィ族の新たな国に、別れを告げ、サルナ王国へと足を向けた。
何でも、此の革命による動乱に乗じて、タックロ王国へ侵攻をしたサルナ王国は、路傍の石として蹴散らそうとした石に、ボコボコにされたらしい。
嘘か真か、3000の軍勢が、十数人の者達に敗れたらしい。
ふっ、そんな話は聞いた事は、......あったな? 何処でだろう?
そうそう、クローマ王国の再興に協力した西方諸国連合軍25000名が、同じく十数人の者達に敗れたとか。
ふっ、愉快、愉快! 其れこそ、夢物語ではないか!
我はシルフィ、自由に生き、自由に死ぬ、只のシルフィだ。
う、うん? 如何したんだ?
我が街道を進んでいると、前方で争いの喧噪が聞こえる。
盗賊が、旅の者を襲っているのか?
共和制に移行され統治の仕組みの変更の隙間に、街道には盗賊・野盗が幅を利かせ、溢れ出した。
では、助けに行こうか。
え? 大丈夫かって? さあ、其れは風にでも、聞いてくれ! 我は風のように自由に生きる者だ!
「「「に、逃げろ~! 化物だ~! 逃げろ~!」」」
我が駆け付けようとすると、前方から明らかに盗賊・野盗の類いだと解る者達が逃げてくる。
だが、其の者達は、我の前に辿り着く前に、氷像のように足元から、氷始め、やがて凍り付く。
一体如何したと言うのだ?
我は慎重に、慎重に前へ進んでいく。
そして、其処には盗賊・野盗の類いの屍が累々と横たわっていた。
こんなにも多くの盗賊・野盗が居る筈も無く、此の者達は、シルフィ族の国に雇われていた傭兵だと理解した。
其の傭兵達を返り討ちにした集団が、我の目の前に居る。
変わった集団だった。
観察するに、集団の統率者は幼いと言って良い年頃のエルフの少年だった。
其の少年の頭には、何故か黒い猫が乗っている。
あれはフューダー大王国の武人が着る鎧に似ている。
くっ、何だ! 此の威圧感は、王族であった我でも、跪きそうになる圧力に驚愕する。
此の者達は一体何者なのだ?
我が其の集団を見つめていると、件のエルフの少年が、頭に猫を乗せたままやって来て、こう言った。
「こんにちは、初めまして、僕ビクトリアスと言います。あなたを待っていました。良かったら僕達と一緒に旅をしませんか、アルバルバさん?」
我はアルバルバ・イルガリア。
風のように自由なシルフィで、只の旅人だ。