第170話 大いなる災い

文字数 392文字

 俺は名も無い魔物だ。

 俺が覚えているのは、敵対する者は容赦しないと言うこと。

 自分が魔物と言う存在だと知っている。

 曾て俺は人だった。

 だが、自分勝手な過ちで、魔物に堕ちた者だ。

 名前は思い出せない。

 自分が過ちを犯したことは覚えている。

 俺が息を吹けば、生き物は死に絶える。

 俺が動けば、生き物は死に絶える。

 俺が思えば、地は腐り、天は暗闇に包まれる。

 俺には名が無い。

 以前には在ったのだろうが、思い出せない。

 何故か腹が空く。何でも喰い尽くしたい衝動に駆られる。

 何故か壊したい。何でも破壊の限りを尽くしたい衝動に駆られる。

 俺は罪人。俺は魔物。俺は死を振り撒く。

 唯々、静かに眠りたい。

 如何か誰も俺に触れないでくれ。







 俺は名も無い魔物。

 如何か誰か俺を殺してくれ。

 俺は、・・・・・・
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