第59話 テスラ王国

文字数 1,304文字

 妾はアンチノミー。

 新婚旅行(ハネムーン)中の花嫁じゃあ。

 我が子達アラクネの熱烈な祝福もあり、盛大に

として結婚式を挙げたのじゃあ。

 むふふふふふ。

 愛しの旦那さまとの旅行なんて、妾は感無量じゃあ。

「アミー。僕、縫いぐるみじゃあないよ?」

 はっ、しまったのじゃあ。

 思わず抱き締めていたのじゃあ。

 むふふふふふ。

『気持ち悪いぜ、アミー。そんな事ばっかだと、ビズに嫌われるぞ!』

「そうですよ、アミーちゃん。嬉しいのは解りますけど、思いやりのない行いは何れ自分に反ってきますよ?」

 エクスとリヴァンの忠告が、妾の心臓に突き刺さったのじゃあ~!

 グサッ! ガーン、なんと!

 潤んだ紅玉の瞳で、妾を見詰める愛しい旦那さま。

 この超可愛い旦那さまに嫌われる? 離婚って事?

 いやなのじゃあああああ~! それは絶対にいやなのじゃあああああ~!

「ビズ、ごめんなのじゃあ」

 妾は名残惜しそうに、旦那さまを地に下ろしたのじゃあ。

「アミー、手を握ってもらってもいい? 駄目かな?」

 その言葉は、妾の心臓に突き刺さったのじゃあ~!

 ずきゅ~ん! 良いに決まってるのじゃあ~! 

 るんるんる~ん! ああ、なんて可愛く愛しいのじゃあ~!


 全然暑くない? 熱くないのじゃあ~!

 ここは、アゾット炎獄と呼ばれている《不死鳥》ラフレシアの縄張りなのじゃあ。

「「「「「ギャアアアアアオス!」」」」」

 赤い蜥蜴の群れが妾達を襲い、一瞬にして妾達に倒され旦那さまに回収され、

のじゃあ。

 この回収は、旦那さまの力の一端なのじゃあ。

 え、これって蜥蜴じゃあない? レッドドラゴン? 旦那さまは、物知りでもあるのじゃあ。

『我輩は、古の盟約の獣の1柱、不死鳥(フシチョウ)ラフレシアである。汝らに問う。汝らの求めるものは何であるか?』

 ラフは、大層な物言いをするのじゃあ。

 ラフと話をすると、ラフも妾達の仲間になりたいそうじゃあ。

 え、自由に空を翔びたい? 

 妾達、古の盟約の獣は、盟約と共に縄張りに拘束されるのじゃあ。

 鳥であるラフにとってアゾット炎獄は、まさに見えない檻に閉じ込められた鳥籠であったのじゃあのう。

 え、妾達が千数百年で初めての侵入者(来客)だって? ラフ、不憫過ぎるのじゃあ。


 ここは、アゾット炎獄に隣接するテスラ王国じゃあ。

 ラフは小型化して、今は旦那さまの肩に留まってるのじゃあ。

 良かったのう、ラフ。

 いや、妾もじゃあ。

 こんな日が来るとは、夢にも思わなかったのじゃあ。

 でも、何故この国の者達は、地面に



 他の国では、

倒れている者は

のに、ほんに摩訶不思議なのじゃあ。


 テスラ王国。

 ドラゴニュートの王国。

 国民総兵士と言われる尚武の国。

 幼き時から、気を練り、気を纏い、気を遣う。

 とっても(プラーナ)に敏感な国だった。

 
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