第6話 依頼

文字数 1,360文字

 私はダリア・ベクシス。

 

機関の工作員。

 今回、私の上司のそのまた上の上司からの命令で、茶番劇を演じることになっている。

 もう一度言う。

 茶番劇を演じることになっている。

 命令内容は、上司の上司であるエドバルト・ナインテール卿を卿の連れの者の前で、奴隷を扱うが如く蔑み罵り鞭で叩きながら、卿の連れの者に卿とこれ以上付き合っては、あなたも同じ変態だと思われますよ? 

 って、私の

を使って、卿との付き合いを考え直させる様に仕向けるって内容。

 本当に、これって本気なの? 

 まあ、私はいつも通り任務を遂行するだけ。

 任務に余計な私の考えを挟めば、死ぬことになる。

 それは、

で絶対の掟。

 卿達が来たみたいね。

 私の部下達の

で、精神を蕩けさして、仕上げは私がする計画なんだけど、全く合図が来ないのは何故? 

 どうしたの?

 余りに合図が遅いので、下の階へ行ってみると、なんと私の部下達の方が蕩けてる状態だった。

 卿の連れの者に群がってる? 

 いえ、(かしず)いている? 

 卿の連れの者は一体何者?

「あら。エルさま。いらっしゃいませ」

 私は声を掛けながら、(くだん)の者を観察する。

 えっ。嘘。

 あの方は。

 女皇帝陛下の第3皇子、ビクトリアス・エルブリタニア殿下では。

 あの紅眼は、間違いない。

 ナインテール卿。

 あなた何てことをしてくれたのよ。

 このことが公になれば、私だけじゃない、部下ももろとも処断されるのは確実。

 私は気が遠くなるのを我慢して、お二人を部屋へ案内した。

 ここまで来たら、やっても地獄。

 やらなくても地獄。

 くっ。ナインテール卿。

 恨むわよ。

 そして、私は筋書き以上にナインテール卿をボコボコに。

 ゲフンゲフン。

 鞭で卿を打ち据えたのでした。

 それで結構満足した私は、ナインテール卿を人間椅子にして、第3皇子殿下に私の

を使った。

「こんな変態にこんな可愛い弟がいるなんて、お姉さんビックリしたわ」

 ああ。

 私、楽に死ねるかしら。

 何て畏れ多いことを......。

 ビク。何? 



 殿下は部屋に入ってからも全く表情が変わらずに、まるで全て解った上で、何ごともなかったような佇まいで、私達の嬌態を見つめていた。

 殿下の紅眼に見つめられるだけで、心まで見透かされている気持ちになるのは何故?

 すると、殿下はゆっくりとした仕草で私に近付き、(おもむろ)に腰に手を廻して抱きつき、ゆっくりと顔上げてから私をじっと見つめた。

 ふ。

 殿下も男だってこと。

「おい......僕の奴隷になれ!」

「は...はい」

 え? 私の眼が効かない? 

 嘘、嘘でしょ。

 でも、か...可愛い♥ 

 ...それからは殿下の仰せのまま。

 私のサキュバスの眼が効かない男がいるなんて。

 自信をなくす。

 それに逆にサキュバスを従属させるなんて。

 でも私は、もう殿下に逆らえない。

 あああああぁぁぁぁぁ~.........。
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