第105話 聖堂騎士団

文字数 1,106文字

 私はジクミーロ・ランスロット。

 聖堂(カテドラル)騎士団の聖騎士だ。

 カテドラル騎士団とは、聖カリダト教国のカリダド教の番人である。

 聖カリダド教国は、創造神カリダド様を崇拝するカリダド教の信者達が作った国だ。

 そして、創造神が創りし12柱の神々も崇められている。

 人々は、創造神様を含めた神々をアルグリア13柱と呼び、創造神が創りし12神をアルグリア12柱と呼んだ。

 
「ランスロット卿、猊下がお呼びですぞ!」

 ふむ、西方三国の件だろう。

 頭が痛いことだ。

 我が聖カリダド教国は、正義の剣を標榜するアッバース王国の隣国である。

 この度の西方諸国での侵略戦争に、件のアッバース王国が与しているのだ。

 古のクローマ王国の末裔である西方三国を、正統なる末裔に還す。

 そうアッバース王国は謳い、この度の戦争に加担したのだ。

 否、私の得た情報ではアッバース王国が主導したとある。

 己の正義を疑わない、己の正義を諦めない、己の正義を貫く。

 アッバース王国の正義とは、独善である。

 しかし、力ある正義に立ち向かうには、より強い力かより正しい正義を説くかしかない。

 まあ、そう言う意味では我が聖カリダド教国も同じだ。

 カリダド教を信仰しない者は悪である。

 故に改心させなければならない。

 そして、天罰と言う名の侵略を行う。

 ふっ、アッバース王国と違いは無い。


「ランスロット、只今参上しました」

 コリントⅦ世猊下は、他者を介さずに私に問う。

「西方三国の信者達から、アッバース王国の非を問う抗議の嘆願が来ている。卿はどう思う?」

「立場が変われば、自ずと正義にも違いがでるかと...」

「ふむ、卿の言も尤もである。しかし、信者は納得は出来まい。西方三国が統一され、正統な者がそれを統べる。アッバースの謳う高潔な魂の帰還。さて、どうしたものかのう...」

「猊下、アッバースの謳う正義の剣を今一度、我らで確かめますか? アッバースも無法者ではありません。間違いがあれば、それを正すだけの度量も持ち合わせております」

「ふむ、何もせずには収まらぬか。では、卿にその任を命じる。アッバースの正義を確かめて参れ」

「御意! ジクミーロ・ランスロット、その任。拝命しました!」

 アッバースの正義。

 聖カリダドの正義。

 人の数だけある正義。

 世はままならんものだ...。


 私はジクミーロ・ランスロット。

 聖カリダト12騎士の一剣、水のランスロットだ。

 我が守護神、水神アクエリアスよ! 我を導き給え!
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