第157話 ベルウル王国

文字数 993文字

 我はゴウトメル・ベリウル。

 ベリウル王国の国王である。



「陛下、大変です! ラグーン王国の新しい王が決まりました! 第2王子のバルクル・ラグーンに決まりました!」

 ふむ、第1王子でも第3王子でもなく、昼行灯と呼ばれる第2王子とはな。

 我が国としては、第3王子に即位して貰って、其の儘ラグーンを貰い受けるのが一番効率が良かったのだがな。

 ふむ、(はかりごと)とは、儘ならないものだな。



「慌てずとも良い! 第2計画を第3王子に打診せよ!」

「はっ!」

 ふむ、第2王子か、全くの想定外でもないが。

 一番確率が低い目が出るとはな。

 何か潮目が変わったのか。

 此の儘では、第2計画も安心出来んな。

 さてはて、如何なることか。



「陛下! ラグーンがテスラ王国へ進軍を開始した模様です!」

 ふむ、此処までは計画通りか。



「陛下、大変です! テスラ王国へ進軍中のラグーンの部隊が、突然の地震で退却を余儀なくされた模様です!」

 ふむ、此れまた想定外な出来事だな。

 クナーン山脈で地震だと?

 ふむ、潮目が怪しいな。

「第3王子に繋ぎを取り、計画を変更させ反乱を起こさせろ! 良いか、第3王子が王都に帰還する前にだぞ?」

「はっ!」

 ふむ、展開は最悪だな。

 全く美しくない。

 潮目を読む我が思案は、深く深く潜っていく。



「陛下、一大事です! ラグーン王国第3王子キルベル殿下が、更迭されました!」

 ふむ、反乱が失敗したか。

 ほう? 王都への帰還中に繋ぎを取れなかっただと?

 ふむ、想定外だな。

 ほう? 伝令が消息を絶った?

 ふむ、つまり此方の動きが漏れているのか。

 油断出来んな、第2王子。

 潮目が変わったのは、昼行灯の第2王子が、舞台に登場してからだ。

 ほう? 我が国の関与が、全てバレているだと?

 ほう? 文章が残っていた? 第3王子は、阿呆なのか?

 燃やせと伝わっていた筈だが、臆病者が万が一の時の為に残したか。

 ふむ、ラグーンには潮目が変わるまで手出ししない方が良いな。

 ふむ、ラグーン王国の新王バルクル・ラグーン。

 只者で在る筈もない。

 其の名前忘れんぞ!







 我はゴウトメル・ベリウル。

 ベリウル王国の国王である。
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