第６４話　妹

『ビズ、お兄さん達とは会えるけど妹さんとは会えないわよ？』

　え、どう言うことシス！？　僕が一度も会ったことのない兄妹のことをシスに相談したら思ってもみない答えが返ってきた！

『ビズの妹さんのローゼティアス・エルブリタニアは、アルグリア大陸暦１３３０年７月２６日、エルブリタニア帝国クローズ公爵領ダマスクローズでお亡くなりになるのよ』

　何故それが解るの、シス？　え、物知りだから？　理由を聞いたのにな...。

　でも、シスの言うことに間違いはない。

　何故ならシスは僕のたった一人の親友だからだ。

　僕はシスに相談をした。

　どうすれば妹の死を回避できるのか？　どうして妹は亡くなったのか？

　シスの話す内容に僕は愕然とした。

　僕の知らない世界がアルグリアにはあると知った。

　シスが語る内容は僕には考えもしない世界だった。

『ビズ、世界は美しい、でも醜いものなのよ？　理想と現実ってあるの。私はビズ(プレイヤー)の相棒(システムメッセージ)よ！　ビズの望みは私の望み！　さあ、ビズの望みは何？』

「僕は妹を死なせない！　僕に力を貸して、シス！」

『解ったわ、ビズ！　時間はないわよ！』

　その後、シスと話し合った。

　シスは僕に強くなること。

　仲間を集めること。

　転ばぬ先の杖を用意すること。

　そのやり方を教えてくれた。

　ありがとう、シス。

　僕は必ず妹を助けるんだ！　


　ボッチの僕に仲間が出来た。

　僕の親友で、相棒のシス。

　いつも僕を馬鹿にする、レディオス・ベクシス。

　僕の頭が定位置の口の悪い、《黒獣》エクリプス。

　いつも冷静沈着な、《氷狼》エンプレス。

　何故か憎めない、《麒麟》パラグラム。

　見た目も個性的な、《海竜》リヴァイアサン。

　最強の武を目指す僕の弟子、レイ・ホウセン。

　僕のお嫁さん、《千手蜘蛛》アンチノミー。

　大空を駆け巡る、《不死鳥》ラフレシア。

　僕の好敵手、《超獣》アプリオリ。

　僕の錬金術の弟子、レジッド・カバデルア。

　僕は仲間達と決戦の地へ向かう！

　僕の妹、ローゼティアス！　お兄ちゃんが必ず助けるからね！


　僕の妹の命を奪うのはダークエルフ国家『ギエロア大王国』の暗殺部隊《闇の牙》だ。

　僕は妹の未来を変える！　僕はビクトリアス・エルブリタニア、ローゼティアスのお兄ちゃんだ！