第22話 仲間

文字数 1,198文字

「ごくろうさまです、レディオス・ベクシス。あなたには2つのせんたくしがあります」

 僕はそう追手の間者に問い掛けた。

 え。何故、間者の名前を知ってるかって?

 それは

に情報検索機能があるからだよ。

 頭に浮かぶ地図で、赤色・黄色・緑色・青色の点があって、その点に集中するとその点の情報が解るんだ。

 凄いよね、これって。

 だから僕をずっと追跡(トレース)していた緑色の点から情報を見たんだ。

 びっくりしたよ。

 だって離宮を脱け出す時に初めて知ったんだからね、シス。

 もう少し早くに教えてくれても? 良いと思わない? ねえ、シス?

『ビズ! あなたが私に聞かないからよ? それに今はそれ所じゃあないでしょ?』

 え。僕が悪いの? 知らないものは聞けないでしょ? 

 あれ、知らないから聞くんだから? あれ、頭がおかしくなりそうだ。

 は。そうだ、今は目の前の間者さんに集中、集中。

「1つはこのまま僕のきょうはんしゃとなってなかまになるか、もう1つはここできをうしなうか? どっちがいいですか?」

 無邪気に子供口調で喋る僕。

 恥ずかしいよ、シス。

 シス曰く、間者に情報を与えるなって言われたけど、僕の情報なんて。

 たかが知れてるよ、シス。

 あ。そうだった。

 

を人に知られると僕、苛められるんだった。嫌だよ、

苛められるの。

「ふっ、ははははは」

 あ。笑われた。何が可笑しかったんだろう? 僕が不思議そうに間者さんを見ていると、

「いやあ、愉快、愉快、殿下。あなたは

です? 私の名前を知っている者は限られます。そして、その者が私の情報を漏らす筈がない。もう一度聞きます、あなたは

ですか?」

 えええええ、なんて人だ。

 僕の質問に質問で返すって、人としておかしいよ? 大丈夫かな、この人? 

 先ずは自分から質問に答えてから、質問するのが正しい大人の礼儀作法(マナー)だって礼儀作法の先生が言ってたよ? がっかりだよ。

 せっかくシスが

って言ってたけど、本当にこの人で大丈夫、ねえシス?

『ビズ。普通の人はね、絶対知られない秘密を告げられたら困惑して、何故知っているのかって聞くのよ? でも彼はそれを聞きもしない。普通じゃないのよ? 彼は』

 えええええ。そんな人でいいの、シス? 僕心配だよ。

『ビズ。彼が良いのよ。あなたの

に絶対必要な人よ』

 目に見えないシスが両拳を握り締め力説する。

 ふ~。解ったよ、シス。

 そして、シスから教えられた言葉を僕は口にする。


「僕が“何者”だって? 僕はレディオス、お前の願いを叶える者だ!」

 こうしてレディオス・ベクシスは僕の2人目の仲間になったんだ。
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