第147話 邂逅

文字数 803文字

 私はアイスナルド・ゼークド。

 イルガリア王国の伯爵にして、軍権を預かる将軍であった。



 先の【イルガリアの奇蹟】と呼ばれるシルフィ族の自由独立の戦いで、負傷し意識を失っていた。

 意識が目覚めると、見知らぬ場所で、治療を受けていた。

 私の横には、ガルバルバ・イルガリア殿下。

 先の反乱で、敵対した我が国の第1王子。

 自分と砦の兵500名、全てを囮にして自爆した殿下。

 殿下は自分が死しても、何かを為したかった故に、反乱を起こされた。

 其れが、自分の父であるアルバルバ陛下の、王家の呪縛からの解放だったとは。



 シルフィは自由を愛する。

 其のシルフィが、自分の自由を国民に捧げ、自由を求められない。

 そんな状況を、憂いた殿下、シルフィ族の王子達の反乱だったとは。



「ち、父上!」

「へ、陛下!」

 私の目の前には、もう二度とお会いする事もないと諦めていた陛下の姿があった。

 な、何と! 陛下は、いや親友は、旅をしているとは!

 な、何だと! 我らを助けてくれたのは、エルブリタニア帝国の第3皇子だと?

 な、何! 其の第3皇子と旅をするだと?

 おいおい、親友よ! 楽しそうでは無いか?

 え? イルガリアへ戻らないかだと?

 共和制に為ったのならば、伯爵でも無くなったと言う事だろう。

 家財など、使用人が始末してくれるだろう。

 私には家族は居ない。

 私も自由気儘に生きるぞ、親友!

 何を驚いているんだ、親友?

 は? 弟子よ、お前も旅に出るだと?

 共和制に参加しなくて良いのか?

 え? 良いって? 

 そ、そうか。ならば何も言うまい。

 私達はシルフィ。風のように、自由に舞い! 風のように、自由に翔ぶ!

 





 私はアイスナルド・ゼークド。

 親友アルバと、弟子ガルバと旅をするシルフィだ。
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