第32話 アルバビロニア大帝国

文字数 1,463文字

『ビズ、あれが食べたい』

「うん、エクス。遠慮なく言ってね」

 僕達は今、アルバビロニア大帝国の帝都プロローズにいる。

 そして、ここはプロローズで1番賑わっているセポン通りにある常設市場だ。

 エクスと一緒に漆黒の森を後にした僕達は、次の目的地ハルベルト山脈へ向かう途中、路銀確保の為と観光も兼ねてここにいる。

 うん、美味しいなこのお肉。

 なんの肉かな? へー、マッスルブルか。

 なら結構、僕持ってるな。

「ビズ様。もうそろそろ良いお時間です」

「うん、ありがとうレディ」

 レディは凄腕の間者さんだけあって、シスでは届かない痒い所に手が届く気配り屋さんだ。

 時々失礼なことを言うけど、それもレディの良さだ。

 へー、ここが冒険者ギルド。

 えーと。先ずは冒険者登録だったね。

 ここは社会見学を兼ねてレディには、後ろで控えて貰っている。

 朝の込み合う時間をずらしたけど、結構いるんだね。

「こんにちは、ビクトリアス様。本日は冒険者登録でよろしいですか?」

「はい、こんにちは。初めまして、今日は冒険者になりに来ました。よろしくお願いします」

 す、凄い。

 冒険者ギルドって凄い。

 

お姉さんが僕の名前を知ってるなんて、冒険者ギルドって凄い。

 それに僕の頭の上で寛いでるエクスを無視(スルー)してるのも凄い。

 市場では

、エクスの

に釘付けだったのに。

 やっぱり冒険者ギルドは凄い。

 窓口のお姉さんは凄く丁寧に説明してくれた。

 冒険者ギルドはアルグリア大陸全土に支部を持つ巨大組織で、ここプロローズが本部だ。

 冒険者は8歳からなれて、最初は1番下のFランクから始めて1番上のSSSSSS(フローレス)ランクまでの12のランクがある。

 僕も今日からFランク冒険者だ。

 そして、僕は冒険者カードを手に入れた。

 そして、今日の最大の目的は路銀を稼ぐことだ。

「魔物素材の買い取りは何処でお願い出来ますか?」

 すると窓口のお姉さんが連れて行ってくれた。

 何故か皆、お姉さんを見ると頭を下げて、目を反らす。

 お姉さん、もしかして嫌われてる? 凄く綺麗なお姉さん、性格に問題があるのかも。

 は、お姉さんが突然僕を見詰めた。

 ゴクリ、なんだこの《圧力(プレッシャー)》は? は、メアリーが言ってた言葉を思い出した。

 殿下、今何か失礼なこと考えてませんでしたか? って、女の直感って言う凄いスキルだ。

 冒険者ギルドの窓口のお姉さんさんてやっぱり凄い。

 一流の

と同じスキルを持ってるなんて凄い。

 買い取り場所って凄く大きい倉庫なんだね。

 お姉さんの言う通りに魔物素材を出していく。

 すぐ一杯になったので隣の倉庫、隣の倉庫と出していくと、お姉さんが何故か引き吊った笑顔で、今日はこれぐらいでお許し下さいって、ナインテール先生並みの綺麗な土下座をされた。

 え、僕なんかお姉さんにしたかな? やっぱりレディに任せた方が良かったかも、しゅん。

 買い取りの後、何故か冒険者ランクがAランクになった。

 お姉さん曰く、ギルド史上最速だって言ってた。

 冒険者ランクって簡単に上がるんだね。

 僕、初めて知ったよ。

 ただ、レディが最近、僕を見る目が気になる。

 酷く残念なものを見る目で僕を見るんだ。

 僕なにか変なことしたかな?
 
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