第125話 反乱軍

文字数 1,099文字

 私はガルバルバ・イルガリア。

 インルガリア王国の第1王子だ。

 私は偉大な革命家に出会った。

 その者は、我ら北西諸国(シルフィ族の国)の王子達に(自由)を語った。

「自由を愛するシルフィが国に縛られるなど、以ての外だ! 王とてシルフィである、父親を責務の呪縛から解き放て!」

 衝撃だった、...国王である我が父は、孤独だった。

 周囲に人はいるが、孤独だった。

 心の内を話せる者がいない。

 話せば話を聞いた者が忖度するやも知れない。

 王は孤独でなければならない、何故なら国王は国民の奉仕者なのだから。

 そう父である国王が記した日記を、私は見てしまった。


 そして、件の革命家は我らに問い掛ける。

「王政が悪いとは言わない。だが、自由を愛するシルフィには合わないかも...。...国民の中から代表を選び(まつりごと)を行う、そう! 言うなれば

こそシルフィに合っているのではないかな?」

 ゴクリ、...私達は唖然とした。

 目の前の男は、我らを北西諸国の王子と知りながら反乱の誘いを理路整然と熱く語った。

 心が動く、...父上、父上の(日記)を見てしまった故に...。

 皆も私と同じように心を動かされているようだ。

 シルフィは自由を愛す、...確かにそうだ、父上は自由になりたいと願っている。

 王族の責務の為に、己の心を身を全てを国民に捧げて、...所々、日記には文字が(にじ)んだ箇所があった。

 父上は涙を...。

 稀代の革命家は、私達に憶することなく熱く熱く、語り続けた。


「皆の者、ありがとう感謝する! 私達が立ち上がればイルガリア各地で蜂起する手筈になっている! 僅か500数名でも、王国は最高戦力を投入するだろう...私を、ガルバルバ・イルガリアの首を獲る為に! 私と共にシルフィの未来の為に死んでくれ! 自由を勝ち取れ、出陣する!」

 私の志に感銘し仲間となった者達に、共に死んでくれと私は告げる。

 ふっ、...自由の為に死んでくれか。

 怖ろしい、...この言葉も、計画も、全て稀代の革命家が企てたもの。

 イルガリアで“自由の闘争”が起これば、北西諸国の各国で“自由の闘争”が巻き起こる。

 闘争が成功した暁には、自由を愛するシルフィの王国《イルガリア共和国》が建国される。


 私はガルバルバ・イルガリア。

 イルガリア王国の王子にして、父上アルバルバ・イルガリアの不肖の息子だ。

 父上は私を許さないだろう、...だが、苦言は冥府でお聞きします! 父上!
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