第137話 共和国建国

文字数 910文字

 我はアルバルバ・イルガリア。

 イルガリア王国の国王であり、シルフィ族を統べる者である。



 一連の反乱騒動が決着をした。

 そう、反乱軍の大勝利で、イルガリア王国は王政を廃して、共和制へと移行する。

 我が国だけではない。

 シルフィ族の周辺国家であるノリス・タックロ・グトネス・ダブリン・ゲオア・ピクルと、イルガリア。

 併せて7ヵ国が共和国へと変貌する。

 自由を愛するシルフィ族が、自由を求めて、シルフィ族を守護する王家を打倒するとは、笑い話にもならない。

 だが、事実は事実。我が身命を賭して護ろうとした国民が選択した事実は変わらない。

 ならば、我はシルフィの自由護る為に、自分に課した責を解こう。

 我は、此れで自由だ! え? 共和制への協力だって?

 ふっはははは! 笑わせるな? 何の冗談だ?

 皆で望んだ共和制だ、望んだ者達で、進めれば良い。

 我は自由なのだ。

 故に我は昔からの夢であった旅に出ようと思う。

 何の気兼ねもなく、自由に風のように、アルグリア大陸を旅するのだ。



 我が愚息ガルバは、自由の名の下に、我が盟友ゼークドと共に冥府へ旅立った。

 息子から我宛に手紙が、【イルガリア共和国】の建国日に届けられた。

 其処には、息子の我への想いが書き綴られていた。

 我の日記を盗み見た息子は、我を王族の楔から解放する為に、この反乱を起こした。

 息子にとって我は王であり、英雄であり、愛する父親だった。

 自由にお為り下さい。冥府で一足先に待っていますとある。

 馬鹿息子が、……我一人の為に、自分の命を懸けるとは、……馬鹿息子が。



 建国式典には、我を含む7ヵ国のシルフィ族の

王達が出席している。

 皆の顔を見ると、以前と違いシルフィの気質が顕れている。

 何者にも縛られないシルフィ。

 何者にも縛られないと言う事が、何者にも縛られると言う事だと、知る民はいない。

 自由を得て、自由を失う。

 其れが解る頃には、我はもうこの国にはいない。

 

 我はアルバルバ・イルガリア。

 只のシルフィの旅人だ。
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