第114話 我は思う

文字数 1,082文字

 我はアプリオリ。

 古の盟約の獣の1柱、《超獣》アプリオリ。

 我が好敵手であるビズに同行し、その強さの秘密を探っている。

 え、聞けばいいのにって?

 馬鹿野郎! 好敵手(ライバル)に聞けるか!

 我はヘルメゲン平原お統べる野獣の王だぞ!

 我には誇りがあるんだ!

 以前、ビズはこう言っていた。
 
 強さの秘密は

と。

 我も眠りながらも戦う...。

 はっ、眠ってしまった。

 いかん、いかん。

 こんなことではビズには勝てない。

 我は超獣と呼ばれる者ぞ...。

 ズズズー...。

 また寝てしまった、眠りに落ちてしまった。

 眠りながら戦うとは一体...どう言うことだ?

 眠っている間でも戦闘して己を鍛えているという意味か?

 はたまた、眠っている間も夢の中で己を鍛えていると言う意味か?

 全く解らんぞ!


 我らはアルグリア大陸の北北西にある国に向かっている。

 但し、慌てる旅ではない。

 故に、皆で狩りをしながら、共に切磋琢磨しながら悠々自適な旅をしている。

 アッバース王国でのビズとダロスの戦いに、我は思う。

 ビズよ、理不尽だと。

 見た目ではダロスが勝っている、凄く体も大きく確かな強さがある。

 しかし、見た目では負けているビズは、我に勝つ化物なのだぞ?

 アッバース王国の伝統?

 いや、ジャイアントの伝統でもある“正義の審判”と言う理不尽極まりない決闘。

 あれはない。

 あれは理不尽だ。

 ダロスがあまりにも可哀想だ。

 故に我はダロスを自主的に鍛えている。

 ダロスは筋も底力も悪くない。

 ふふふ、ダロスがビズに一泡吹かす姿を想像すると笑いが止まらない。

『アプリ! 気持ち悪いぞ!』

 ふふふ、黒い虎が何か吠えている。

 エクスの奴め、忌々しい。

 いつもビズの頭の上に鎮座しておる。

 何様だ、エクス。

 ふん、今に見ていろ!

 我の愛弟子であるダロスが、お前の友に一撃を当てるさまを...。

 あ、あれ? 我は何をしているんだ?

 我がビズに勝ってこそではないのか?

 まあ、良い。

 気分転換は必要なことだ。

 ビズめ今に見ていろ!

 眠りながら戦っているだと?

 そんなこと出来る訳ないだろ!


 我はアプリオリ。

 好敵手に何とか一泡吹かせる為に。

 好敵手に何とか勝つ為に。

 日々勝利を模索する野獣の王だ。

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