第152話 運命と宿命の神

文字数 1,153文字

 アルグリア大陸を創造した創造神【カリダド】は、己の力の分身を12の現し身として誕生させた。


 英雄と秩序と法を司る、天空神ライブラ。

 彼は、カリダドの善悪の天秤の如き秤である。



 女性と命を司る、魔法神カプリコーン。

 彼女は、カリダドの魔力と生命力を受け継ぐ。



 戦争と武を司る、軍神レオ。

 彼は、カリダドの戦への想いと武勇を受け継ぐ。



 戦略と知を司る、知恵神ピスケス。

 彼女は、カリダドの知恵と閃きを受け継ぐ。



 愛と毒を司る、美神スコーピオン。

 彼は、カリダドの傾愛と葛藤を受け継ぐ。



 文化と医術を司る、光神アリエス。

 彼女は、カリダドの慈悲と思いやりの心を受け継ぐ。



 冥府と輪廻転生を司る、闇神キャンサー。

 彼は、カリダドの死と再生の力を受け継ぐ。



 農耕と豊穣を司る、地神バルゴ。

 彼女は、カリダドの血と恵みの心を受け継ぐ。



 海と川と泉を司る、水神アクエリアス。

 彼女は、カリダドの涙と感情を受け継ぐ。



 火山と鍛冶を司る、火神タウラス。

 彼は、カリダドの熱意と創作を受け継ぐ。



 狩猟と森林を司る、風神サジタリウス。

 彼は、カリダドの(ことわり)と自由の心を受け継ぐ。 



 運命と宿命を司る、才能神ジェミニ。

 

は、カリダドの森羅万象の想いを受け継ぐ。







 ある刻、神々は仲の良いジェミニの姉弟に、悪戯心を起こした。

 其の悪戯が、禍殃(かおう)を呼び、ジェミニは他の神々を滅してしまう。

 其れは神界では、忌避され罰せられるべき禁忌だった。

 ジェミニの片割れは、神を廃され輪廻転生の輪に放たれた。

 其れを憂いた片割れも、同じく輪廻転生の輪に沈んだのだった。



 創造神カリダドは、泣き崩れた。

 我が子達の過ちを、愚かさを、救えなかった己を責めた。



 カリダドでも、滅された魂の復元は出来なかった。

 アルグリア世界には、創造神の力を持ってしても、変えられない事象が存在した。

 全知全能の筈の創造神でも、抗えない宿命が、アルグリアには確かに存在したのだった。

 其処で新たに12の擬似神を創造し、同じ間違いが起きないようにキツく戒めた。

 アルグリア大陸を見守る神々。

 創造神カリダドを主神として、12の柱が並び立つ。

 カリダドを含めた13柱を、アルグリア13柱と人は呼ぶ。

 宿る命が、運ぶ命が、アルグリアの歴史に名を刻み、色を添える。



 カリダドの涙が、アルグリアに落ち生まれたのが、マリエンテ内海と外海だと伝えられている。

 そして、其の涙の雫の一つが、塩水の湖と伝えられている。
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