第66話 策謀

文字数 1,037文字

 我はベルナルド・ギエロア。

 ギエロア大王国の大王である。

 我がダークエルフ族の宿敵はエルフ族である。

 そのエルフ族の国である、アルバビロニア大帝国とエルブリタニア帝国に対し我がギエロア大王国は劣勢をしいられておる。

 先ずは徐々にエルフの勢力を削っていくのが常道である。

 エルブリタニア帝国女皇帝アリトリアス・エルブリタニアには4人の子供がいる。

 先ずは次代の世代を削り、長期的な勝利を目指そうと思う。

 今の段階で明白にギエロアの名前が出るのは不味い。

 そこで市井の暗殺組織を使うことにしたのだが、放浪中の帝国第3皇子すら暗殺出来ないとは『闇の牙』とは名ばかりの組織であったのか?

 しかし、我は気が長い方では無い。

 成功すれば良し、失敗すれば『闇の牙』には消えて貰おう。


 ほう、第4子の第1皇女が避暑旅行に出るか?

 ならば、その第1皇女を狙うのも一興よな。

 しかし、『闇の牙』だけでは心許ないのは確かだ。

 今回は確実を期す為に我は直属の暗部『猿』に、『闇の牙』監視と加勢命じた。

 我が国の暗部『猿』とは、我直属の見ざる言わざる聞かざるの隠密集団である。

「猿命! おるか?」

 我が執務室の片隅に告げると、声のみが返答する。

「大王様、此処に控えております」

「帝国の第1皇女の暗殺を今一度『闇の牙』に依頼する。成功すれば良し、失敗するようなら暗部を動かし其の方らがことを為し、そののち全てを闇に葬れ」

「御意」

 これで良いであろう、証拠は残さないのは鉄則だ。

 アリトリアス・エルブリタニアよ、自身の子供が一人づつ消えていく恐怖に戦け! ふっははははは~!


「申し上げます。帝国の第3皇子が獣王国オルスカの闘技会で優勝したとのことです。そののちの獣王ガンジャ・オルスカにも勝利したとのことです」

 な、なんだと! 獣王国の闘技会で優勝だと!? 馬鹿なあのオルスカの闘技会でか!? 獣王に勝っただと!?

 むむむ、確か帝国の第3皇子はまだ12歳の子供だったはず。

 子供が優勝だと、獣王に勝利しただと? 信じられん...がだ、事実ならば我がギエロアの未来にとり由々しき事態である。

 エルブリタニア帝国第3皇子、ビクトリアス・エルブリタニアか...面白い。

 子供であろうとギエロアに敵対する芽は、若い内に摘むが得策よ。

 ふっははははは、先ずは其方の妹を血祭りに上げてくれるわ!
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