第150話 暗雲と青藍の空

文字数 1,042文字

『ビズ、計画変更よ! グリスティス・オールバの一族を、アクリオン王国で合流して、帝都まで誰かに送って貰いましょう!』

 え? 突然如何したの、シス?

『ラグーン王国へ向かうのよ! 歴史が変わったわ、ビズ!』

 え? 如何言う事? 何が変わったの?

『ラグーン王国は、本当は先月滅亡する運命だったの! でも、現在も滅亡せずに領土を拡大している! 此れは何が原因なのか、確かめないといけないわ!』

 でも、其れって僕が原因じゃないのかな?

 だって、史実では僕は帝都エルシィの館で、引き籠もっていたんだよね?

『そうね、史実と違う動きを、私達はしている。でも、其れは其れ! 此れは此れよ! トッププレイヤー達は、少しの違和感も見逃さないの! 行くわよ、ビズ!』

 解ったよ、シス! 急かさないでよ!



 レディとラフに、グリスの一族のことを任せた僕達は、ラグーン王国まで後2日の距離まで来ていた。

 此処はテイリ王国。

 ラグーン王国の同盟国だ。

 国に入ると、物々しい雰囲気に包まれている。

 情報を集めると、解ったことはラグーン王国が、テスラ王国に侵略を開始したと言うこと。

 でも、史実では、ラグーン王国は、王位継承問題で内部崩壊を起こし、其れに乗じた隣国に攻め込まれ滅亡するらしい。

 シスは、調査出来る範囲で、情報を精査し、目的地と経路を決めていく。

『やっぱり可笑しいわ、ビズ! 王位継承問題が全く無いのよ! 前王が亡くなって、第3王子と第1王子の派閥が争うのだけど、何故か第2王子が王として即位しているのよ? 如何思う、ビズ?』

 如何思うも何も、本来の歴史とは別の歴史が起こっているのは、僕もそうなので、第2王子が鍵を握っているとしか言えないよ?

『やっぱり、そうよね? 情報確認だけでは、解らないわ! ラグーン王国の首都コラールに急ぎましょう!』

 了解!

 でもシス、歴史って変わったら不味いの? 僕、変えまくってるよね?

『悪いことは無いわよ? 只、私達の夢の為には、不確定要素は排除しないとね!』

 見えない筈のシスが、フンスと鼻息荒く拳を突き上げる!

 ああ、もうこうなってしまったシスを、誰も止められない。

 まあ、僕以外だれもシスと話せないから、僕が止められないと、止まらないんだけどね。







 見上げた空は、何処までも青藍が続いていたが、僕達が向かうラグーン王国には暗雲が立ち込めようとしていた。
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