第218話「黒曜石」
文字数 3,239文字
―PM8時50分―
《古民家cafe-ゑ來屡(エクリュ)》
イカタル*さんが、本日最後のお客様の食器をせっせと片しつつ、ニヤニヤしながら話しかけて来た
····イカタル*さんは自分の事をあまり見ていないようでいて実はめちゃくちゃ見ているのかもしれない――――
今日の昼間、突然の嵐のようにヨアケくんが来店し、とんでもない勢いでヨアケくんのペースに乗せられてしまった
今すぐ体術を習いたいと言われた時は流石に忙しい時間帯のお店をイカタル*さん一人に任せてしまうのは忍びないと思ったのだが、わざわざ遠い所から一人で来たのだからとイカタル*さんに促されてしまい、結果的に一人でお店を任せてしまったのである····
····愛するイカタル*さんに隠し事をされている様な気持ちに勝手になってしまい、少しだけ強い口調になってしまった――――――
····結局、奥の手って何だったのよイカタル*さん―――――――
―数日後―
《瑞禪寺(ずいぜんじ)―櫻井家》
····昔から確執のあった櫻井家と桐生家は、カイトといろはのお陰で良好な関係を保ち続けている――――
実は近年、櫻井家の霊力が弱まりつつある事もあり、二ツ神の件については本当の意味で二人には救われた
まさかカイトが闇淤加美神(クラオカミ)まで使役しているとは到底想像もしていなかっただけに、彼の底しれない能力には驚かされてばかりである
そして今日は、そんなカイトといろはの長男である夜朱(ヨアケ)が櫻井家を訪れる予定になっている―――――
二人の息子であるヨアケは全くもって夜叉丸にそっくりな悪ガキだ
幼い頃からヤンチャで口は減らないが、底しれない能力を秘めている所はサスガはカイトと夜叉丸の子孫だと感じざるを得ない
ゲンユー
ヨアケとの会話に突如として参戦して来たのは琉唏(るき)だった