第189話「帰省」※オマケのお知らせ※

文字数 4,427文字






          《廻天院》

····やっと着いた
わぁ····っ

立派なお寺!



あれから私とカイトは、徒歩10日ほどかけてカイトの実家である「廻天院」まで来ていた


カイトの要望で出歩くのは夜と限定され、昼間は大体宿泊所で寝ている事が多い···

ましてや鬼狩りをしながらの旅だったため、何かと時間を要してしまうのは致し方がない事だった―――――



····そんなこんなで、ようやく辿り着いたのである



···でも、こんな時間じゃカイトのご両親にご挨拶も出来ないね··
っ!!
···ご、挨拶――――··
·············
····ん?!



あ、あれ?

私なにか変なこと言ったかな···?



···いや、もしかしたら起きてるかもしれない
···住職が
そ、そうなんだ···



····住職さんって、カイトのお父さんかな?

何となく···、カイトの顔色が良くない気がするのは気のせい?












        ―AM1時15分―


          《裏口》

··············
·····カイト?
やはり電気が点いている···
そ、そうだね!

これならご挨拶出来るかな〜···

············
···········



何かバツが悪いのかしら?!




と、思っていたその時――――



ガラ――――――ッ
っっ!!!
··········
····海弦

一切の連絡もせずに7年間も修行に身を投じていた事···、そして当然帰ってきた事について何か言う事はあるか?

···········
·············

申し訳ありません、父さん

っっ?!

(7年間?!)

謝れば許される····などと思ってはいないだろうな?
··········
····私など――――

居ても居なくても同じでしょう?

····どういう意味だ
私の役割は「復元」された鬼の業を取り除き、呪いをかける事――――
その役割を全うしていただけです
·········
この寺院を継ぐのは兄さん達の役割だ――――、私は旅に出ていて丁度良いはずですが?
···········

ハァ··

···そういう話をしているのでは無い
···········



カイト···、どうしたんだろう···?

いつもと雰囲気が全然違う···

家族間で何か事情があるのだろうか



チラッ
っ!!



目が合ってしまった····



貴方は·····、海弦とはどの様なご関係かな?
っ!!
わ、わわっ、私は――――――
彼女は私の妻になる方です
·······!
えぇっ?!
····そうか
···········



そ、そうか···って――――

そんな簡単に納得して良いんですか?!

こんな何処の誰かも分からない、得体の知れないオナゴを····っ!!


って言うか、まだそんな妻になるとか具体的な話なんてしてないよね···?



··········
(···無言の圧が···っ!)



この二人····ソックリだと思うわ

完全に親子ね···



···失礼でなければお名前を伺っても宜しいですか?
っっ?!
は、はい····

私の名前は姫城 いろはと申します

っ!!!
·······?

何と····っ

まさか···本当にそのような事が―――――――

······え?
····いろはさん
は、はい···
知らなかった事とは言え、失礼な態度を取ってしまった事をお許し下さい――――――
·····え?
暫くは此処でユックリと過ごされては如何でしょうか?
···········
···········
···海弦、これまでの事は不問としよう。彼女を部屋まで案内してあげなさい
············はい










          《客間》

取り敢えずこの部屋が空いてるみたいだな···
·········
な、なんか···ゴメンなさい
っ?!
···どうした?

何でいろはが謝るんだ?

···カイト、久しぶりの帰宅だったんだね···、何だか私··場違いだったかなって····
·····いや、いろはは何も悪くないだろ?俺が無理やり連れてきただけだ
·············

(明日、また改めてちゃんとご挨拶しないと――――)



と、思っていたその時····

障子の外から、何やら人の話し声が聞こえて来た―――――



······のか··

····っと····るな····

ずいぶん······ったものだ

しかし···、こんな時間ですから―――――
(·····誰だろ?)



その話し声は徐々に私達のいる部屋に近付いているようだった


そして部屋の前まで来たであろう人物は私達の部屋をノックした



トントン―――――
··········はい



その時、障子を開けたのは―――――



ガラ――――ッ
いろはっ!!
····················
······は?
久しぶりだな!!!

元気に復元しているか?!

··············!
············
····え?

いや····っ  えっ?!

ずっとお前の事を案じていたぞ!

最近のイタコは中々俺を口寄せ出来なくて焦っていたんだがな!

マナの子孫がやり遂げてくれたんだ!!サスガはオーマとマナの子孫だ!
ちょ、ちょっと玄宥様·····

落ち着いて――――――



その瞬間、興奮気味の玄宥様はあろうことか私を思いっきりハグしてきたのだった·····



っっ!!!!!
イッラァ〜····!!
いろはっ!!!
·····おい
っ?!
·····え?
····いろはに気安く触んじゃねぇ
·····?!
か、海弦······っっ!!!

玄宥様に対して何という言葉使いを―――――

ああっ!!!夜叉丸!!!

お前も元気にしていたか?!

·········



玄宥様は私をぎっちりと抱きしめたままカイトに話しかけている·····


カイトの機嫌がどんどん悪くなるから離して欲しいのだけれど···



いいから離れろよ!
··········なんと
あ、夜叉丸の無礼は今に始まった事じゃないから気にするな、慧慈(えじ)
も、申し訳ありません玄宥様···!
············
実は俺も最近ココに来たばかりなんだ!色んな事情が相まっていて話を通すのは中々至難の業だったぞ!
ええ···

私とて未だに混乱中です

····で、玄宥様は一体何をしにコチラまでお越し頂いたのですか?
俺がこの場所に来た理由····、それは――――
オーマとマナと、俺を口寄せしたこの体の持ち主である「凪(なぎ)」の願いを叶えるためだ
っ?!
····まぁ、積もる話は多々あるかと思いますが、いろはさんもお疲れでしょうから、その話はまた明日にしましょう
············
····仕方ないな〜
それじゃあ···、いろはと離れるのは寂しいが我慢するとしよう
·····玄宥様
ん?

何だ?夜叉丸···

····私はカイトです!

それから···わざとらしい真似はやめて下さい

フフ
···········
海弦···、お前はいつから玄宥様のことを存じ上げているのだ
··············
····350年程前からですが
っっ!!!!
········そろそろ

いろはを休ませたいのですが宜しいでしょうか?

···あ、あぁ

そうだな―――――

それでは····

いろはさんは、ごゆっくりお休みください

····あ、はい···

有難うございます···

ではね〜



玄宥様はニヤニヤしながら手をひらひらさせて部屋から出ていった····


何か――――

玄宥様ってあんな人だったかしら·····?!

まぁ、久々にお会いできたのはとても嬉しかったけど···、カイトをまるでからかっているようだったな··



···疲れた
····ハァ
いろは····

疲れていたのに悪かったな

っっ?!
そっ、そう言う意味じゃないから全然大丈夫だよ!!
住職だけでも面倒なのに···まさか玄宥までいるとは――――――
··········
·········
········
···あ、そうだ――――

こんな時間だけど···風呂入る?

え、いいの?

勿論いいよ?

····なんなら一緒に入るか?
ブッッ
そっ、そう言えばカイト!!
ん?
つっ、つつ妻になるってどういう事?!そんな話はしてないよね?!
···········
え、何で?

「復元」継承のために遺伝子を掛け合わせなければならないって話したろ?

······!!
さすがにお前を未婚の母にするわけにはいかないからな···、俺が責任を取るのは当然だ
·······っっ!!!
で、ででっでもっ!!

私の不老不死が治らなかったら――――――

それは·····

無理なんじゃ―――――

···········
····例え、そうなったとしても俺は年寄りになるまでいろはの側にいたいのだが····
····さすがにヨボヨボの俺が側にいたんじゃ迷惑でしかないか
っっ!!!!
···そんな事ないよ!!
···········そうか?
なら決まりだな!
·············
····何か

はめられた····

·········
····ほら、風呂に行こう?

案内するから

·····一緒には入らないからね
····分かってるよ
··········
····あっ、でも添い寝はさせて?
っっ!!?
····カイトって意外と諦め悪いよね
何を今更···

何年お前の事を思い続けて来たと思ってんの?諦める訳ねぇだろ――――

············
············?

どした?

い、いや·····

でも···、私達って――――――

····ん?
···········



「·····付き合ってすらないよね」

って言いそうになった―――――


···しかしそんな事に拘りがあるくらいの年齢でもなく···

むしろ、そんな少女のような思いが過ぎってしまった自分に対して恥ずかしさだけが込み上げた



·····いろはは、思った事をあまり口にしないな
···そんな所は昔から変わらない。

きっと···夜叉丸だった頃の俺が悪かったのかもな··

っっ?!
な、なんで?!

夜叉丸は悪くないよ?!これは私の問題と言うか····

···········
だったら····、何を考えていたのか教えて?
···········
いろはの憂いを全て排除したいんだ









 



            ―次回へ続く―




↑ 申し訳ありませんでしたカイト様(;´∀`)

貴方様を描く時間が本当に取れなかった結果です(土下座)





ということで、また再来週にお会いしましょう(*´∀`)✨

今週も閲覧下さり本当に有難うございました(*´ω`*)♡








✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧

2023年12月21日

現在、カイトの新しいアイコンは完成していますが、前のアイコン〜新しいアイコンへと編集中です。m(_ _;)m


※まだまだ納得出来るレベルのカイトのアイコンではありませんが、このまま拘り続けると本編が書けなくなるので諦めました( ;∀;)

↑の線画とも全く違うモノとなりました。・゚・(ノ∀`)・゚・。ウエーン

これからも精進いたします(TOT)


↓↓↓カイトの新しいイラストはこちら↓↓↓

↑背景はイラストAC、『歩夢』様の作品をお借りしています(*´ω`*)

あんこ*は『歩夢』様の大ファンで、いつも背景をお借りしています(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)♡

いつも有難うございます!




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登場人物紹介

名前 姫城 いろは(ひめぎいろは)

年齢 20歳

職業 大学生


都内ではあるが、県境で沿岸にある集落出身。その集落には毎年行われる豊年祭があるが今年は何故かその豊年祭にいろはが招待を受ける····

名前 姫城 花梨(ひめぎかりん)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの従姉妹

いろはのご近所に住んでいて、小さい頃から姉妹のように育ってきた。いろはにとって大切な存在。

名前 夜叉丸(やしゃまる)

年齢 不明

職業 不明


謎だらけの青年

名前 ホシ猫

年齢 不明

種類 妖怪


妖猫『仙狸(センリ)』人型バージョン

化け猫の類い。人の精気を喰らう必要があるため、死にたくても死ねない夜叉丸の側で精気を拝借している。

名前 黒鉄(くろがね) 

年齢 656歳

種類 妖怪


妖怪『猫又』の人型バージョン

巷では有名な超級百鬼。飼い主の「黒崎陵」とは600年前の記憶を共有しており、唯一無二の存在。当時の二人の事情は『百鬼夜行』に記されている。

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)

年齢 60歳

職業 「黒猫マート」の店長


黒鉄の飼い主

24Hコンビニ「黒猫マート」の店長で、黒鉄の飼い主。迷い猫を保護し育てている。黒鉄とは600年前の記憶を共有しているため、黒鉄からは昔の名前「佐助」で呼ばれている。

名前 如月 歩夢(きさらぎあゆむ)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの元彼

いろはと同じ大学に通う元恋人。色々あったが結局は今でもいろはの事を引きずっている。

名前 佐伯 怜奈(さえきれな)

年齢 21歳

職業 大学生


いろはの元親友

昔はいろはと仲が良かったらしいが、いろはへの嫉妬心が強いため何かと嫌がらせをしてくる性悪女。

名前 新羅 咲哉(しんらさくや)

年齢 20歳

職業 大学生


如月 歩夢の友人

掴み所のない性格だが、何故か女の子からはモテる。たまに闇が垣間見える事があるため歩夢は少し警戒している。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

種類 妖怪


妖怪『九尾の狐』の人型バージョン

狐の姿になる事は殆んど無い。

大昔に人から命を救われている為、人を襲わず同族を食糧としている。大食間であり、その力は脅威と言われている。

名前 北条 莉桜(ほうじょうりお)

年齢 25歳

職業 図書館勤務(公務員)


温厚で優しい口調が相手に好印象を与えているが、実際は周りの事や人に興味がなく、相手がどう感じようと全く構わないタイプ。だがやっぱり優しいのでモテている。

名前 伊吹 逢馬(いぶきおうま)

年齢 24歳

職業 祓い屋&心理学者


両親が極度な霊感体質であり、自らも見事に受け継いだ為、祓い屋家業を営んでいる。大学では心理学を専攻していたのでたまに心理学者としての仕事もしつつ生計を立てている。未だに独身。

名前 十朱 真那(とあけまな)

年齢 24歳

職業 管理栄養士&イタコ


本業は管理栄養士だが、今では貴重な存在である「イタコ」の後継者。本人はイタコであることが嫌な為、実家を継ぐのを放棄して伊吹家に居候している。その代わりに逢馬の仕事を手伝わされて結局イタコをやる羽目になっている。

名前 比企 夜叉丸(ひがやしゃまる)

年齢 10歳

職業 人斬り一家


約700年前、まだ人だった頃の夜叉丸。

親に捨てられ死ぬ間際に比企家の頭首である藤治(とうじ)に拾われ、人斬りとして育て上げられる。

名前 比企 藤治(ひがとうじ)

年齢 32歳

職業 人斬り一家


約700年前、死にかけていた夜叉丸を拾って人斬りとして育て上げるオッサン。

比企家の頭首にして凄腕の剣客。

名前 比企 氷月(ひがひづき)

年齢 10歳

職業 比企家の家事全般


比企家頭首である藤治の娘。

母親は既に他界しており、比企家に住む男共の面倒や家事など全てを担っている。

名前 比企 白夜(ひがびゃくや)

年齢 25歳

職業 人斬り一家


人斬り一家のリーダー的存在。比企家に住んでおり、戦では100人斬りを達成している剣客。左目は損傷し隻眼となっている。

名前 坂本 瑠迦(さかもとるか)

年齢 24歳

職業 調理師


いろはのバイト先である、古民家カフェのマスター。最初はせっかちで強引なイメージだったが、実は優しくて空気の読める爽やかなイケメン。野菜作りが趣味で自家製野菜を店で提供している。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

年齢 不詳

職業 カルラ様の側近


鬼族の頂点であるカルラの側近。真面目で忠実な性格だが、人をおちょくった様な一面があり、いつもカルラに消されそうになっている。あだ名の由来はその性格がタマネギ部隊に似ているためだと言われている。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

etc


廃炉の人型バージョン。趣味が中々良いためイケメンになるが、その性格は変わらない。

名前 迦楼羅(かるら)

年齢 不詳

職業 鬼族の長


全ての鬼をまとめる鬼族と言う貴族の頂点。しかし自分の一族である鬼族にも殆んど興味がないため、鬼狩りに仲間を狩られても面倒くさい程度にしか思っていない。取り巻きにどやされて仕方なく鬼狩りを追い払っている。

名前 姫城 奈瑞菜(ひめぎなずな)

年齢 23歳

職業 料理人


200年程前の時代の中、カルラと出会う女料理人。見た目はとても可憐たが過去の経緯から極度の男性不信。しかし惚れっぽいため、いつも簡単に騙されてしまうようなちょと残念な女性。

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