第117話「太陰」
文字数 1,256文字
《城下町》
十二天将とは、「選ばれし特別」な陰陽師だけが使役出来る超級百鬼達だ
戦いにおいて必要不可欠な戦力である事は言うまでもないが、相手はあくまでも百鬼であるため扱いがとても難しい
「選ばれし」、と言うのは逆に十二天将から選ばれると言う意味でもある
全くもって、上から物を言う奴らだ
そう思うと同じ百鬼としてはあまり好感が持てないホシ猫であった
ホシ猫は既にどちらの味方でもなく、ただただ戦況を楽しみながら高みの見物をしていた
ホシ猫は物凄く興味津々である
夜叉丸は案外メンクイだ
玄宥が指差した方向には、空中に大量の武器の切っ先が全てコチラを向いた状態で浮いていた
その少し奥には廃炉が能力を発動している
その時、廃炉の咆哮と共に大量の武器が玄宥達目がけて一斉に襲いかかる
このままでは、この場にいる全ての者達が完全に絶命するだろう事が容易に想像できる程に――
そう、小さく呟いたのは太陰だ―――
そして自らの帯に差してある、脇差しの短刀を取り出し鞘から抜いた