第115話「分析」

文字数 1,532文字






         《城下町》

さて、それではサッサと終わらせるッス。ワタシも暇では無いのでね
さっき賭場に行こうとしていたじゃないか!!暇なんだろっ!!
鬼のくせにっ!!
鬼のくせにって何スかこの小僧っ子!ゲンユーの教育能力の低さが伺われるッス!
っっ!!!!

玄宥様は関係ないだろ!!!侮辱するなっ!

ヤトは優秀な弟子だよ

鬼がとにかく嫌いなだけさ

何かムカつく奴らッス!

目一鬼(まひとつおに)、菫鬼(きんき)、好きに暴れてしまえ

っ!!
はいっ!!廃炉様!!
グオァァァァァっ!!!!
あ··、何か乱戦になりそうだね

少人数だけども、個々の能力が高そうだし、周りへの被害が心配だな

んな事言ってる場合かよ!

またデケエのが来んぞ!テメェの身くらいテメェで守れよ




ボワンッッ

勿論だよ

でもホシ猫は安全な所から高みの見物と行こうじゃないか

ったく、気楽なもんだぜ――――



ホシ猫が戦線離脱し、近くの建物の屋根へと身軽に移動していたその時―――


目一鬼のお目当てはどうにも夜叉丸らしく、執拗に攻撃を繰り返している


玄宥の結界で片腕が朽ち果てていると言うのに元気なものだ


デカいナタは左腕に持ち替えたらしい




遠目から彼らの戦いを見ているホシ猫は、冷静に分析していた




ハイロ····、だっけ?

いや、確かタマネギじゃなかったかな?まぁどっちでもいいか

彼の能力は自らのタイミングで今の能力を別な能力へと変えられるモノだとゲンユーが言っていた
さっきから目一鬼の動きがオカシイんだよね。不自然の極みだ
恐らくソレがハイロの能力だろう。取り敢えずまだ能力を変更してはいないみたいだね










夜叉丸!
あぁ?!
今デカブツ相手に忙しいんだが?!
目一鬼がいくら素早くとも、瞬きしている間に真逆の方向へ移動しているのはあまりにもオカシイだろ
まぁな。そりゃ確かに不自然だが、俺様に避けられん攻撃など無い
だが、そんなものは体力が尽きてしまったら終わりだ
ナメんなよ?!

体力なんざ尽きねぇぜ!!

いや、尽きるだろ····

そして、さっき俺に助けられた事をさっそく忘れるなよ

おかげで体調不良になったがな!




と、その時――――――




·······っ?!

なんだ···?

?!




二人は空間がやけに歪んで見えている事に気が付いた



空間の歪みは、まるで水面に水滴を落としたかの様に波紋となって円を描き、その波紋は夜叉丸と玄宥の正面を向いて空中に浮いているようだった



そしてその波紋はどんどん数が増えていっているように見える




な、何でしょうか玄宥さま···

目の錯覚?!モヤモヤしますね··

これはヤバいぞ··

あの波紋は廃炉の周りに出現している

て事はヤツの能力か?



そう思ったのも束の間、あっと言う間に波紋の数は無数に増えていた


そして、その波紋の中心部――――



なんだろうか、何かの物体が波紋の中から少しづつ出てきている




げっ、玄宥様!!

あれは切っ先ではありませんか?!

······あぁ、刀――――か?
こりゃアレだな····

すげぇ嫌な予感がするな




廃炉の周りに出来た無数の波紋、その波紋の中から徐々に出てきたモノは――――



無数の波紋の数だけの刀や斤、ナタや七支刀、鉄鋼鉤、円月輪、鎖鎌等、もはやこの国にある武器の全てがこの場所に集結していた




あの無数の武器一覧·····

廃炉の能力は空間から物体を移動させるものか――――

ほぉ〜···

なるほどな、だからデカブツも瞬間的に移動していた訳かよ

さて、あれをどう防ぐかがこの戦いの要点か?
確かに能力発動中のハイロは、この時点では動く様子は無さそうだが、その他2鬼の相手もあるぜ?
···········
ヤト、お前は錠約結界の鎖であの2鬼を縛れ
っつ!!!!
は、はいっ!
俺は廃炉の攻撃を防ぐから、先ずは2鬼を排除して欲しい
夜叉丸、頼むぞ
···仕方ねえな
やってやるぜ!!!
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登場人物紹介

名前 姫城 いろは(ひめぎいろは)

年齢 20歳

職業 大学生


都内ではあるが、県境で沿岸にある集落出身。その集落には毎年行われる豊年祭があるが今年は何故かその豊年祭にいろはが招待を受ける····

名前 姫城 花梨(ひめぎかりん)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの従姉妹

いろはのご近所に住んでいて、小さい頃から姉妹のように育ってきた。いろはにとって大切な存在。

名前 夜叉丸(やしゃまる)

年齢 不明

職業 不明


謎だらけの青年

名前 ホシ猫

年齢 不明

種類 妖怪


妖猫『仙狸(センリ)』人型バージョン

化け猫の類い。人の精気を喰らう必要があるため、死にたくても死ねない夜叉丸の側で精気を拝借している。

名前 黒鉄(くろがね) 

年齢 656歳

種類 妖怪


妖怪『猫又』の人型バージョン

巷では有名な超級百鬼。飼い主の「黒崎陵」とは600年前の記憶を共有しており、唯一無二の存在。当時の二人の事情は『百鬼夜行』に記されている。

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)

年齢 60歳

職業 「黒猫マート」の店長


黒鉄の飼い主

24Hコンビニ「黒猫マート」の店長で、黒鉄の飼い主。迷い猫を保護し育てている。黒鉄とは600年前の記憶を共有しているため、黒鉄からは昔の名前「佐助」で呼ばれている。

名前 如月 歩夢(きさらぎあゆむ)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの元彼

いろはと同じ大学に通う元恋人。色々あったが結局は今でもいろはの事を引きずっている。

名前 佐伯 怜奈(さえきれな)

年齢 21歳

職業 大学生


いろはの元親友

昔はいろはと仲が良かったらしいが、いろはへの嫉妬心が強いため何かと嫌がらせをしてくる性悪女。

名前 新羅 咲哉(しんらさくや)

年齢 20歳

職業 大学生


如月 歩夢の友人

掴み所のない性格だが、何故か女の子からはモテる。たまに闇が垣間見える事があるため歩夢は少し警戒している。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

種類 妖怪


妖怪『九尾の狐』の人型バージョン

狐の姿になる事は殆んど無い。

大昔に人から命を救われている為、人を襲わず同族を食糧としている。大食間であり、その力は脅威と言われている。

名前 北条 莉桜(ほうじょうりお)

年齢 25歳

職業 図書館勤務(公務員)


温厚で優しい口調が相手に好印象を与えているが、実際は周りの事や人に興味がなく、相手がどう感じようと全く構わないタイプ。だがやっぱり優しいのでモテている。

名前 伊吹 逢馬(いぶきおうま)

年齢 24歳

職業 祓い屋&心理学者


両親が極度な霊感体質であり、自らも見事に受け継いだ為、祓い屋家業を営んでいる。大学では心理学を専攻していたのでたまに心理学者としての仕事もしつつ生計を立てている。未だに独身。

名前 十朱 真那(とあけまな)

年齢 24歳

職業 管理栄養士&イタコ


本業は管理栄養士だが、今では貴重な存在である「イタコ」の後継者。本人はイタコであることが嫌な為、実家を継ぐのを放棄して伊吹家に居候している。その代わりに逢馬の仕事を手伝わされて結局イタコをやる羽目になっている。

名前 比企 夜叉丸(ひがやしゃまる)

年齢 10歳

職業 人斬り一家


約700年前、まだ人だった頃の夜叉丸。

親に捨てられ死ぬ間際に比企家の頭首である藤治(とうじ)に拾われ、人斬りとして育て上げられる。

名前 比企 藤治(ひがとうじ)

年齢 32歳

職業 人斬り一家


約700年前、死にかけていた夜叉丸を拾って人斬りとして育て上げるオッサン。

比企家の頭首にして凄腕の剣客。

名前 比企 氷月(ひがひづき)

年齢 10歳

職業 比企家の家事全般


比企家頭首である藤治の娘。

母親は既に他界しており、比企家に住む男共の面倒や家事など全てを担っている。

名前 比企 白夜(ひがびゃくや)

年齢 25歳

職業 人斬り一家


人斬り一家のリーダー的存在。比企家に住んでおり、戦では100人斬りを達成している剣客。左目は損傷し隻眼となっている。

名前 坂本 瑠迦(さかもとるか)

年齢 24歳

職業 調理師


いろはのバイト先である、古民家カフェのマスター。最初はせっかちで強引なイメージだったが、実は優しくて空気の読める爽やかなイケメン。野菜作りが趣味で自家製野菜を店で提供している。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

年齢 不詳

職業 カルラ様の側近


鬼族の頂点であるカルラの側近。真面目で忠実な性格だが、人をおちょくった様な一面があり、いつもカルラに消されそうになっている。あだ名の由来はその性格がタマネギ部隊に似ているためだと言われている。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

etc


廃炉の人型バージョン。趣味が中々良いためイケメンになるが、その性格は変わらない。

名前 迦楼羅(かるら)

年齢 不詳

職業 鬼族の長


全ての鬼をまとめる鬼族と言う貴族の頂点。しかし自分の一族である鬼族にも殆んど興味がないため、鬼狩りに仲間を狩られても面倒くさい程度にしか思っていない。取り巻きにどやされて仕方なく鬼狩りを追い払っている。

名前 姫城 奈瑞菜(ひめぎなずな)

年齢 23歳

職業 料理人


200年程前の時代の中、カルラと出会う女料理人。見た目はとても可憐たが過去の経緯から極度の男性不信。しかし惚れっぽいため、いつも簡単に騙されてしまうようなちょと残念な女性。

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