第164話「運命の別れ」
文字数 2,543文字
《春の闇》
孔雀明王はそう言うと、氷月の業を喰らい、その慈悲深き淡い光で氷月を包みこんだ――――――
···その時·····
さようなら――――――――
――――そうして、氷月は満ち足りた表情で光と共に天に登って行ったのだった···
夜叉丸は孔雀明王の前まで行くと、少しだけ顔を下げそのままそっと目を閉じた―――――
そして、目を開けた時には····
鬼化は解け、人の姿に戻っていた――――
いろはは、そう言いかけて俯いたまま黙ってしまった――――
夜叉丸に心配かけてしまうから――――
そのとき夜叉丸は···
少しだけ強引に引き寄せていたいろはをそのまま抱きしめ、小さく呟いた――――――
ホシ猫に捨て台詞を吐いた夜叉丸は、そのままくるりと背を向け孔雀明王の元へ歩いて行った―――――
しかしその時の夜叉丸の表情はとても穏やかだったと言う···
自らの使命を胸に、夜叉丸といろはは其々の運命と向き合う覚悟を決め、歩き出す
いつかまた···出会える事を信じて―――――
続く