第162話「絶望と希望」
文字数 2,737文字
·········
·················様
――――――――――ルラ様っ
···特に理由は無い
―――――まぁ、強いて言うなら興味がないからだ
いやっっっ!!!!興味を持ちましょうよ!!!仲間達が大勢殺られていると言うのに!!
その内、皆殺されてカルラ様1人になっても知りませんよ?!(これマジで!)
実際、私は人にも鬼にも興味がないが···お前は誰よりも同胞を大事にするからな――――――
そ、そそっ、そう言う問題ではありませんっ――――――――····
廃炉は玄宥が呼び出した十二天将、「六合」が変化した100㌧ハンマーに後頭部を強打され、暫く気を失っていた―――――
しかし孔雀明王が放った強烈な光に照らされ、サスガに意識を取り戻したのだった
···玄宥め――――、仏のような顔をしながらゲスい攻撃をしてきたッス!!
·····それにしても、何だか嫌な予感がする――――――
····っ!!
光が激し過ぎて、目を閉じていたのにチカチカして周りが良く見えない
クッソ――――――!!!
今何がどうなってやがる!!
白い光が少しづつ収まる中、さっきまでカルラとナズナがいたであろう場所には誰かが倒れているようなシルエットが浮かび上がってきた
そう叫んだ夜叉丸は、オーマの腕を振り解き、脇目も振らずその人物の元へと駆け寄った
ホシ猫とオーマもいろはの元へ駆け寄る中、玄宥だけがその場に留まっている···
―――――と、そのとき焦ったように玄宥の方へ走って来たのは····
何が起きたんだ―――――?
鬼達の気配が一切感じられない···
夜叉丸がいろはに説教をしようとしていた時、生気のない表情の廃炉が、カルラとナズナの気配が残されていた場所にフラついた足取りでやって来た――――
ナッ、ナズナ様っっ!!!!
カルラ様は一体何処へ行かれたのですか?!
で、でもナズナ様がいらっしゃるなら心配ありませんね!!必ず戻って来られますから大丈夫です!!
そう呟いた廃炉はそのまま力無く座り込むと、堰を切ったかのように声にならない声で泣き崩れていた――――
そして、そんな廃炉の側に寄り添うように隣に座り込んだのは····
····廃炉、これはカルラとナズナさんが選択した事だ。マカマユリは二人の気持ちを汲み取ったんだよ――――
だから···、悲しむことはない
カルラは最期に君に言葉を遺している
その時、廃炉は真っ白く優しい光に包まれた―――――
·······
···········
··············
―――――タマネギ···
私が居なくなって、まさかとは思うが泣いてなどおらぬだろうな?
········!!!
なっ、泣いてなど―――――っ
イマスケド···
タマネギには苦労をかけたと思っている。最後の最期まで勝手な事ばかりで悪かったな――――
···事を望んだのだが――――
ナズナの切なる願いと、いろはの魂との繋がりあるこの魂を輪廻転生させざるを得ないと言う結果になった
···まぁ、ナズナと共に輪廻転生出来るのなら文句などあるはずもないのだがな····
····な、なんと···!!!
·····よ、良かった―――本当に··
···だが、私が消えた後の鬼の世は崩れ去る――――――
マカマユリの力は絶大だ···、鬼の世に生き残った者はお前しかおらぬだろう
皮肉な事に···、人を喰らっておらぬのはお前だけだからな――――
······そ、そんな事で生かされるとは――そんなモノは望んでなど··
···これから先は何者にも邪魔されない自由がお前を待っている
···高架下の彼女····
大切にしろ、これは命令だ
···また会う時がいつの日か来るかもしれん····
そうして廃炉を囲んでいた白く優しい光は、ユラユラと少しづつ晴れていき、カルラの残像とナズナの気配も少しづつ消え去って行った―――――
またすぐにマカマユリが降臨するから、その前に早く行きなさい
そして廃炉は何かを決意したかのような表情で立ち上がり、涙をグイッと拭うと何も言わずにその場から姿を消したのだった――――
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