第56話「坂本 瑠迦(ｻｶﾓﾄﾙｶ)」
文字数 1,182文字
－PM7時30分－
《古民家cafe－ゑ來屡(ｴｸﾘｭ)》
～♪～♪♪～♪
ｻﾞﾜｻﾞﾜ――··
いろはちゃん、これ運んでくれる？
あ···っ、はいっ
ひょんな事から···
私は急遽このお店でバイトをする事になった
このお店は古民家を改造してカフェを経営している
でも、あまり目立たない様に外観を施してあるんだって···謎···。
カフェなんだからもっと全面に押し出せば良いのにと思う
お洒落だし····
···でも、こっそり生きたい私としては好都合である
(午後は18時から開店だけど開店と同時に客入りが良すぎる件··)
まだ不慣れな私にはサスガにキツイ···
そして、目立たない様な外観の施しは効果を発揮してないよね
···もう既に、こっそり生きるのが無理かもと思い始めてきた
····いろはちゃん大丈夫か？
···あっ だ、大丈夫です！
今日からなのに、こんなにバタバタしていてごめんね
いっ、いえいえ！
全然大丈夫です！
···最初はただの強引なイケメンだと思っていたが、実はとても優しく気を使ってくれる素敵なイケメンだった
彼の名前は「坂本 瑠迦(さかもとるか)」さん、24歳、独身、B型···
ここのオーナーであり、プロのシェフだ
特に聞いてないんだけど、個人的な情報も色々と教えてくれた
案外面白い人だ
そして私の事には一切触れて来ない所も好印象だったな
(ただ、１つだけ····)
(さっきルカさんがﾎﾞｿｯと呟いた、会いたかったって··言葉···聞き間違いじゃないよね···？)
(···私はルカさんとは初対面なのに)
·············
···いろはちゃん
はっ、はいっ？！
そんなに見つめられると照れるんだけど···、俺の顔に何か付いてる？
いっっ、いえいえいえいえ！！！
ごめんなさいっ！！
ヤバっ！！
仕事しよう！今は仕事に集中よ！！
－PM9時45分－
《古民家cafe－ゑ來屡(ｴｸﾘｭ)》
ふぅ～···、やっと閉店時間だわ··
い、忙しかった···
いろはちゃん、お疲れ様
お、お疲れ様でした！
····今日は急だったのにも関わらず
頑張ってくれて有り難うね
いえいえ！
明日からはランチの時間も頑張りますよ！
·····やっぱり君は··
····え？
···あ、いや
いろはちゃん、もし良かったら···
これから夕飯食べて行かない？
簡単なのだけど作ってあげるよ
ほっ、本当ですか？！
嬉しいです！
よし！じゃあ、二人でまかないディナーと行くか！
はい！
いつもご飯は作る方だったから、作って貰える事がとても嬉しかった···
しかもプロのシェフに！
ルカさん最高ですほんとマジで！
(ルカさんに出会えてラッキーだったな～っ！)
あ····
そう言えば···、夜叉丸の今日の夕御飯大丈夫かな？
黒崎さんが居れば作ってもらえるだろうけど··
絶対自分じゃ作らないからなぁ
ちょっと心配だけど··、まぁいっか
