第31話『赤鬼』
文字数 1,006文字
－AM3時40分－
············
ﾌﾗﾌﾗ～···
あはは····、何処に行ったんですかぁ？お姉さぁん··
···あれからと言うもの、北条さんは真那を執拗に探しまくっている··
彼の目に真那が映らなくなったのは本当に幸いだった
隙を見つけ、真那を先にあの部屋から出す事が出来たのだ
その後も北条さんは真那に執着し続けて部屋の中を探していた··
そのお陰で俺も脱出する事が出来たのだが··
(だからと言って、北条さんをこのまま放置するわけには行かない··)
俺は建物の影に隠れながら、北条さんを見失わない様にしていた
黒鉄が言っていた、『鬼狩り』ってヤツが来るまでは···
(伊吹くん···)
っ！！！
(···何でまだここに居るんだよ)
(先に帰れって言っただろうが)
(···すみません、ですが伊吹くん一人で何かあっては··)
····ｸﾝｯ
(俺の事は心配しなくて····)
あぁ～··、お姉さんの匂いがする··
っ！！！！
っ！！！！
···見えないけど··、ソコに居るんですよねえ～？
········
···触ったり
喰ったり··出来るのかなぁ～··？
っっ！！！
(とにかく真那はこの場から離れろ！)
(···わ、分かりました)
··········
あれぇ～···？
お姉さんの匂いが離れてくようなぁ··？
っ？！
(くっそ！！仕方ねえ···！)
このままでは危険だと判断した俺は、仕方なく北条さんを食い止める事にした
北条さん！！
·····ん？
あなたをこのまま放置しておく訳には行かないんです
あぁ··、貴方は確かぁ～··
陰陽師の···伊吹さんでしたかぁ？
···········
(この人の記憶と感情は前のままなのか？)
陰陽師って···、化け物を消滅させるんでしたっけぇ～···？
··········
俺は···、殺人鬼って言う鬼···って事になるんですかねぇ～？あはっ
····あなたは
··本物の鬼になったんですよ？
本物の鬼···？
············
あは··っ、ははははははっ
それは····
楽しいですねぇ、実に楽しいですぅ
········
··ぁぁ、そうか··
だから俺はお姉さんを喰いたくて喰いたくて仕方がないんですねぇ～··
っ！！！
それなのに····
貴方がお姉さんを隠しちゃったんですかぁ～？
··········
····お姉さんは
俺のモノだ·······
貴方には····
っ！！！
渡さないよ····
っ！？
(完全に鬼に変わりやがった··！！)
