第149話「番外編∶揺れる感情」
文字数 1,862文字
ここは、鬼族の長(カルラ)が人の世で経営している古民家cafe、「ゑ來屡(エクリュ)」だ
たった今店を閉めようと片付けをしていた所に廃炉がス――――っと入ってきたのである
えっ!?
ワ、ワタシは何も悪いことはしておりません!!
···し、しかし、今競馬場へ行けないとあの方に会う機会が減ってしまう可能性が·····ブツブツ
ルッ、ルカ様はっ!!!
どうやってナズナ様のはーとを射止めたのですか?!
あ···いえ、その····
まぁ、ルカ様の魅力はワタシなんか足元にも及ばないくらいの度合いですからね···
タマネギ···、これは俺の本心で言うがな―――――
···が、まぁ···お前が誰かに好意を寄せる事自体カナリ珍しい現象だからな
取り敢えず、俺が出来る助言としては···、賭博を辞めて真っ当な権力者になる事だ
っ?!
(権力者は無理っしょ?!カルラ様がいるんだから!!)
は、はい···!
お時間を取らせてしまい申し訳ありません····
ここは数時間前、廃炉がイカタル*ちゃんを送り届けた公園だ
この近くのガード下に屋台があるらしいのだが、他の屋台仲間に目撃されると色々と面倒らしく、ここで良いと言われて別れた場所だった
···あの後、それ以上の会話をすることが出来ずに若干気まずい空気のまま別れてしまったッス····
イカタル*さん····、折角ワタシの事をもっと知りたいと言って下さったのに――――
自分が鬼である以上、彼女に会いたいと思えば思うほど此れからも正体を隠して会わなければならない事実に罪悪感が生じていた――――
屋台を探そうと思えば探せたのだが、会った所でどうするんだと、廃炉は自問自答するしかなかった
そうして、もう諦めて帰ろうとしていたその時――――
丁度お店が閉店時間でして、帰りに公園の桜でも見てから帰ろうかと思って立ち寄った所でした!
近くまで来ていたのなら屋台にも軽く寄ってくれれば良かったのに·····って、屋台の場所知りませんでしたね
こんな時間に女性が一人で帰宅と言うのは感心しないッス···
···そうですね
でも、お仕事ですから···仕方ないんです
と、取り敢えず今日はワタシがご自宅までお送りします···
何だか無理されてませんか?
私の事は気にしなくても大丈夫です
そっ、そんな事は無いっッス!!
むしろ心配過ぎてこのまま帰る事など出来ません!
····廃炉さんの···考えている事が私には良く分からないんです
廃炉さん···、私とはあまり関わりたくないんじゃないですか?
この時間に帰るのはいつもの事です···、だから何の問題もありません
イカタル*さんとは今日、出逢ったばかりですが···、本当はもっと貴方と話をしていたかった····ッス
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