第169話「あの日の廃炉とイカタル*ちゃん①」
文字数 2,874文字
《古民家Cafe―ゑ來屡》
結局あれから4人で晩酌を共に(半強制)する事になり、イカタル*さんの美味しいお料理と共に、色んな国のビールや廃炉さんおすすめの日本酒などで意外と楽しく盛り上がっていた――――
と、言いながらイカタル*さんが何やら良い〜香りのする料理を作って持ってきてくれた
本気でほっぺが落ちそうな程に美味しいイカタル*さんのお料理をベタ褒めしていたその時――――
「当然ッス!イカタル*さんのお料理ッスよ!?世界一美味しいに決まってるッス!」と、自分の事のように自慢をしながらタマネギさんがお洒落な瓶ビールを抱えて戻って来た
―一ヶ月前―
《高架下前―公園》
廃炉にとって唯一無二のカルラの死···
そして鬼族の滅亡――――
この世に鬼族の血統は廃炉だけになっていた
だからこそ、カルラは廃炉に実質最期の命令を下したのだ
一人残されてしまった廃炉が悲しみに暮れて自害しないために····
大切な存在を思い出させる為の命令を――――
しかし、廃炉は自責の念に駆られたままにこの場所に来ていた
廃炉がイカタル*ちゃんに会うことをためらっていたその時―――――
だったら今日こそはつき合ってもらいますよ?!
少し離れた場所からだろうか?
男女が話している声が聞こえる――――
···しかしその内容は穏やかなものでも無さそうだ
廃炉は自分には関係のない事だと思いながらも、少しだけ様子を見に行くことにした
そこに居たのは―――――
無駄に自身のありそうなイケメンと、イカタル*ちゃんだった―――――
男がイカタル*ちゃんの腕を強引に掴み、自分の方へと引き寄せようとした
その時――――――
廃炉は男に詰め寄り、イカタル*ちゃんの腕を掴む男の腕を鷲掴みにした――――
鬼族の中では小柄な廃炉だが、実はかなりの筋肉質であり、身長は先日少し伸びたため185㌢はある
間近で見ればかなりの迫力である事は言うまでも無い
廃炉は実に冷静な態度で対応していたが、内心は最大にブチギレていた
····本来ならば聞き分けのないこのクソ野郎を殺してやろうかと思う所だが、イカタル*ちゃんの手前そこまでする事は出来ない―――――
仕方がないので、この男の小汚い腕を握り潰す事で気持ちを抑える事にした
そう言うと男は悲鳴を上げながら走って逃げていった
廃炉がイカタル*ちゃんに何から話したら良いのか悩んでいた時―――
廃炉は照れ屋なので直にマスクの紐を結び直した!
イカタル*ちゃんは廃炉に抱きついたまま廃炉の名をずっと呼び続けている
···このまま暫く離れそうにないイカタル*ちゃんが可愛過ぎてヤバい!
抱きつかれている現実が信じられない!
死ぬほど嬉しい本心を一切隠すことが出来ない!
鼻の下が伸びるのは男だし仕方がない!
と盛大に心の声が漏れそうな廃炉だった······