第202話「桐生蒼羽の過去⑤」
文字数 3,853文字
―AM10時40分―
《桐生家―茶の間》
「姉さんが命を懸けて産んだ愛しい子供達より、薄命な姉さんの命の方がよほど重かったんですか――――?」
「私の娘と貴方の息子さんは同じ年のようですね―――」
「····それが何でしょうか···?」
「今回、レンを救って下さった恩もありますので、貴方の息子さんを救う為に私も協力致します」
「ほ、本当ですか?!」
「·····ええ」
「···ですので、この先レンを貴方の息子さんに出会わせましょう」
「····えっ?!」
「そして···二人が出会った時、もしもレンが貴方の息子さんを救いたいと願ったのならば、己の命を懸けてでも守り抜き、全てを解決させると断言致します」
「··ちょっ、と待って下さい···!」
「···はい?」
「そ、それって···もし、レンさんがアスマを拒否した場合はどうなるんですか?!」
「·····そうですね」
「残念ながら、貴方の息子さんにはレンを魅了する程の実力は無かったものと諦らめて貰いましょう(ニッコリ)」
「そ、そんな···、お見合いじゃないんだから――――」
「···蒼羽さん、貴方の息子さんはそんなに残念な性格なのですか?(見た目も)」
「····は?!」
「自身が無さそうだったのでねぇ··」
「アッ、アスマは俺なんかよりも余程出来た子供ですよ!!優しく!妹思いで!顔だって俺に似て―――――」
「···フフ」
「っ?!」
「いや、失礼しました。貴方はそもそも自分の子供達に興味がなかった故、このような事態に陥っていると仰っていたものですから····」
「···········」
「貴方にとって、奥様の存在が大きすぎただけで子供達の事もちゃんと愛していたのではないでしょうか」
「···い、今更···俺にそんな事を言う資格など···」
「·········」
「···取り敢えず分かりました」
「···レンはね、とても優しい子なんです。困っている人を放っておけるような人間ではありません··。とは言え誰彼構わず助けるような人間にも育てた覚えはないんですけど」
「··········」
「アスマを···、どうか宜しくお願いします·····!」
「···全てはレンの判断にかかっておりますが、レンと貴方の息子さんが出会うまでの間は十二天将のうちの一、「天空」に然りげ無く守らせましょう」
「あっ、有難うございます!!」
「···しかし天空は、息子さんの元凶を何とかする事など出来ませんのでその辺はご了承下さい」
「····分かりました」
「因みに、天空はレンタルした場合、1日30000円ほどかかる程の百鬼である事もお伝えしておきますね(ニッコリ)」
「······ほ、本当に申し訳ありません」
「それでは、貴方は貴方のやるべき事をおやりなさい――――」
「ご武運を――――」
続く