第21話「本性」
文字数 1,597文字
《住宅街》
一体なんなの？！
···なのに何故··
ちょっ···と··まってよ····っ
何で····あ、歩夢が···？！
そんな···
まさか···、歩夢が鬼だったなんて
またか····
結局鬼なんて自らのために人を喰う事しか考えてはいないんだ···
···歩夢はとても優しい人だった
少しだけ優柔不断な所もあったけど常識的で紳士な人···
あの時の私は··本気で歩夢の事が好きだった
それなのに···、あの時の歩夢は···、全て偽りだったのか
私は···、本気であなたの事が好きだったよ··
俺は今でも君の虜だ···
さあ···っ、俺の愛を感じろ！！！！！
歩夢は···、そのセリフと共に凄い勢いで私に襲いかかってきた
···でも私はそれに対して微動だにする事もなく簡単に押し倒され····
首の付け根と肩の辺りを「バクンッ」···と喰われたのだ
あぁ···最高だ··、いろは···
やめ···て··
もっと俺の愛を受け取ってくれ···
(ま、また喰われる····っ！！)
と····、思った瞬間····
ドカンッッ！！！！
バキバキッッズドンンンッッッ！！！
って言う···、あまり聞きなれない、酷く鈍い音がした····
な、何事····？
あ、もしかして····
夜叉丸が来てくれたんじゃ····
と··思い、痛む体を起こして見た···
そこにいたのは····
その時、随分派手に飛ばされて近くの塀にめり込んでいたであろう歩夢が、自分の上に乗っかっている大きい石片をバラバラと崩しながら起き上がり、此方へユックリと歩いてきた··
貴様···、誰だ···
この辺の知り合いに会いに来たと思ったらビックリしたわ！！
何だ··この匂い····
や、夜叉丸····
その時ようやく夜叉丸が来てくれた···
ちょっとさぁ···、遅すぎるでしょ···
もう···
また会いに来るからね··
んだと？！逃がす訳ね····
夜叉丸がそう言ったその時にはもう既に歩夢の姿は無かった····
