第119話「戦術」
文字数 1,415文字
《城下町》
その時、夜叉丸は無防備状態の廃炉へと瞬時に間合いを詰めた
次の瞬間、夜叉丸は血の刀を廃炉目掛けて振り降ろした
あっという間に間合いを詰められ逃げる余裕もない廃炉は、夜叉丸の血の刀に真っ二つにされたのだった
その場に居た誰もが廃炉は完全に消滅するものだと思っていた
だがホシ猫は、最初から違和感を感じていた
なぜ廃炉は能力を変更しなかったのか、それがどうしても納得いかなかったのだ
真っ二つにされた筈の廃炉は――――
真っ二つになったままの状態でその場に立ち尽くしていた
いや―――、それどころかポリポリと頭を掻きながら困ったような表情をしている···
夜叉丸の血の刀で斬られても肉体は朽ちず、散亡することが無かったのだ
廃炉は、「クソが、とか口悪すぎるッス!」とブツブツ言いながら真っ二つになった自らの肉体を粉々に破壊して、その場から立ち去って行った