第159話「覚醒」
文字数 1,632文字
《春の闇》
―廃炉VS玄宥―
あの時、玄宥は密かに六合(リクゴウ)を召喚していた――――
六合(リクゴウ)は平和と調和の象徴であり、召喚時の姿は太ったヒヨコをバカでかくしたような可愛らしい姿である
六合の能力は、人に取り憑いた悪鬼を優しく浄化させ、誰も傷付けないのが特徴だ
悪鬼に取り憑かれた人の体は、心とのバランスを崩してしまいがちだが、具合よく釣り合わせる為のケアも忘れない
しかし、六合にはもう一つ隠された能力があり、櫻井家では特にもその能力の方を使いたがる傾向にあった―――――
それは·····
そう―――――
今回、六合が変化したモノとは·····
100㌧ハンマーだったのである
(背後からの不意打ちで)
《春の闇》
―夜叉丸VS迦楼羅―
そう言うと夜叉丸は、黒鉄の腕を振りほどき、レイの結界圏内の中を別の方向へ向かおうとしていた
その時、ホシ猫の視界に入ったのは――――――
夜叉丸と戦っていたカルラはナズナから少し離れた場所に居た為、ナズナが1人残されていたのだ
そう言うと夜叉丸はナズナの腕をガッチリ掴んで自分の方へと引き寄せた
そう言い放った夜叉丸は、自分の方へと引き寄せたナズナを抱きしめ、そのまま抱えて駆け出した――――
不意にナズナを奪われた事を理解したカルラの怒りは一瞬で頂点に達し、その叫びは地響きの如く春の闇全体に轟いた
夜叉丸がナズナを抱えてレイの結界から抜け出ようとした、まさにその時···
夜叉丸はゾッとする感覚を覚えていた―――――
自分の首が落ちる程の戦慄を瞬間的に察知したのである
カルラはあっと言う間に夜叉丸との間合いを詰め、微塵のためらいもなく夜叉丸の首めがけて刀を横薙ぎに払った――――
カルラに斬られる事を覚悟した瞬間、夜叉丸は何かに勢いよく突き飛ばされた
そして、気付いた時にはそのまま結界の外に出ていたのだった
カルラは相手の首が飛ぶ寸前で刀の勢いを殺し、無理矢理その手を止めた
夜叉丸の代わりに斬られるべくして、夜叉丸を突き飛ばし、カルラの前に立ち塞がったのは―――――――
斬るなら···、私にして下さい