第93話「窮地」
文字数 1,455文字
《大町》
ザワザワ―――――
ホシ猫は、興味本位で近づいた子供によって窮地に立たされていた。
首には縄をはめられ繋がれている。
周りには大人子供と大勢の見物客でごった返しており、とても逃げられそうにもなかった。
本当か?!
見物客達は早く早くと囃し立て始めた
シビレを切らした子供は怒りのあまり、手に持っていた木の枝をホシ猫目掛けて振り上げ、おもいきり振り下ろした
誰もがホシ猫に直撃すると思ったその瞬間だった
木の枝は急に上に引き上げられ、子供の腕ごと持ち上げられた
邪魔するならただじゃおかねぇぞ!!
その時、ホシ猫の救済に入った男は腰にぶら下げていた刀を鞘から抜き、見物客達に向けて構えた
刀を抜きやがったぞ!!
見物客達は、男の抜かれた刀を見て仰天していた。
その刀の刃は赤黒く変色しているのにも関わらず怪しく光り輝き、その鋭さは目で見てもよく分かるものだった
どう見ても、相当な数の人の血を吸っているようにしか見えない
見物客達は、その異様な空気を放つ刀に恐れおののき一瞬で散らばって行った
そして、ホシ猫はこの男によって開放され、子供は諦めて帰っていった