第133話「最悪な観光客」
文字数 1,962文字
《鬼の世》
ここは鬼の世――――――
普段はとても静かで、桜のざわめきが心地よく響き渡る幻想的な場所だ―――
そんな静かなこの場所で、本来は有り得ない事態が起きていた―――
《春の闇》
鬼女はオーマのすぐ後ろから突然現れ、ニタニタしながらオーマの顔に己の顔を寄せつつ凝視しながら話している――――
※玄宥は現在真那の体を借りている
廃炉がそう言い放ったと同時に、何処に隠れていたのか凄まじい数の鬼達が一斉に襲いかかって来た――――
夜叉丸が鬼化しようとしたその瞬間―――――、既に体勢を整えていたのはレイだった
まさに疾風の如く、神速で白刃(はくじん)を振りかざした後には襲い掛かって来た大量の鬼達を軽く吹き飛ばす程の烈風を巻き起こしていた
空中を無防備に舞う鬼達へ慈悲の一つも感じられないレイの表情は常に冷静そのものだ
烈風を巻き起こしたその状態のまま、即座に次の一手へと移る――――
その時、宙を舞う鬼達が次々と断末魔をあげ始めた―――――
よく見ると鬼達の体には蒼白い光の梵字が無数に刻まれ、その呪法に依って鬼達の肉体は無惨にも崩れ始めていたのだった