第212話「祟り神」
文字数 2,909文字
―AM0時05分―
《立ち入り禁止区域内》
····こ、これは
完全に他人事じゃない?!
とは言え、カイトと一緒に行きたいって言ったのは自分だし、カイトの役に立つなら何だってやるに決まってるんだけど―――――
でも···何だか命の無駄遣いしてるみたいで気が引けるなぁ·····
これなら寿命の短い人に分け与えてあげられる能力の方が欲しいよ
因みに黒鉄さんはと言うと――――――――
との事だった······
《怨霊の巣窟》
カイトが施してくれた結界は櫻井家が作る結界とは少し違っていて、光の輪の中に居るような感覚だ
前にも思った事だが、呪いを得意とする桐生家の結界とは思えないほど美しくて優しい光がとても眩い――――
そんな結界の中に私と三屍蠱さんを残してカイトはさっさと歩いて行ってしまった
······あ
ちょっとやり過ぎたかも····
····ババアって事ですか?!
ま、まぁ···あれだけ放出したらそうなるかな―――――
カイトに見られなくて良かった
その時爆ぜた私の命の光は数多となり、四方八方へと散りばめられた―――
その瞬間、好き放題に暴れまくっていた怨霊たちが一瞬青白く発光したかと思うと跡形もなく消え失せたのだった
·····そんな光景を目の当たりにした私が少しだけホッしたのも束の間、今度は穴の中から、遠目に見ても体の肉片がグズグズで今にも崩れ落ちそうな血達磨の肉塊が冥界の穴から這い上がろうとしていた
《冥界の穴―手前》
闇堕ちした神様か····
そんなに位の高い神様でも闇堕ちする事があるだなんて···
それに、高貴な神様は能力だって相当高いはずだよね···
カイトはどうやって彼を支配したのだろう?
カイトが持つ能力の底知れない部分に、お父様である住職様は恐れを抱いたのかもしれない―――――