第130話「有能な陰陽師」

文字数 1,981文字






        ーPM6時50分ー


           《黒崎家》

············
·············
············
さぁて、じゃあ始めようか
ああ――――
········

陵さん、本当にスミマセン

迷惑ばかりかけて··

あ〜、いや···

まぁ別に構わないんだけどね···

···丁度飯の仕度が出来た辺りに戻ってくるとはのう
まぁ、ご飯は後で温めて食べよう





さて、俺たちも暇じゃねぇんだ

サッサと答えろよ?クソ鬼!

············
鬼の世へどうやって行くのか教えろ!

それが嫌なら案内しやがれ!

··········

答えなければどうする
ふん!手は色々とあんだよ!!オーマが穏便にしろと言うから聞いてやってるだけだ!
············

そ、それを――――言う程···、俺は落ちぶれてはいない

へぇ···

思ったよりもずっと一族を大切に思ってるんだな?

·············
は、廃炉様には――――··

色々と世話になったんだ···。例えカルラ様が俺たちに興味が無くても―――

廃炉様は違った···

いつも一族を大切にされていた

········
だから俺は··、一族を裏切ることは出来ないが――――、せめてカルラ様からいろはを奪い返したかった
うーん···、そうかぁ
いや、そうかぁじゃねぇだろ!!!
だって俺、今は仏になっちゃったから、ちゃんとした意志のある奴を蔑ろにはできないんだよなぁ
まぁ、取り敢えず穏便には済ませたいですよね···
テメェら阿呆か!!!

どうせいつかはコイツも俺がぶった斬るんだからな!!!

············
なんなら――――――
今だって全然良いんだぜ?!
っ!!!!!
っ!!!
待て待て待て夜叉丸!

落ち着け!

あぁ?!

てめぇらがグズグズしてっからだろーが!!

···全く

昔からブレない奴だな

分かった。確かに今回の目的はいろは奪還だからな

ふん!ついでに殲滅も、だ!!
········

な、何をされたって喋る気は―――

うん。いいよ君は喋らなくて
っ!!!?
?!
っ!!



全員がどう言う事かと困惑しているさ中、玄宥はおもむろに印を組み始めた



「内縛変形印」
縛曰羅 夜叉 吽!

(バサラ ヤシャ ウン)

っっっ!!!!?
金剛夜叉明王四種秘法!
っっ!!!

おお···

っ?!
ぐ、ぐぁぁ····っ
く····っ、お、俺は·····

ぜっ···たいに···しゃ··べ···

·········
··········
···········
····鬼の世へは―――――

ここからでは行けない···

っ!!!!
は、話し始めた····っ?
ほう?

ではどのルートから行けば良いんだ?

ルートなんてものはない···

誰も鬼の世へは行けない

っ!!!

何だと?!

鬼の世とは――――

人の世の反対側に存在する

鬼族にしか行き来が出来ない――――

そう、先代様が創られた

先代?鬼族の寿命は尽きないんじゃないのか?夜叉丸···
そこに世代交代なんて···
····先代は何者かに殺された可能性が高いな
····何者か·······

ッハ!

·······!
あいつ――――――

実は強かったんじゃねぇか···



なるほど···

では、今回は君がいれば鬼の世まで行けるって言う事かな?

当然行ける
分かった··

じゃあ、真言が彼の意識を支配している間に行かなければならないぞ夜叉丸

ああ····!!
っ!!

で、ではメンバーを収集しましょう!

お?!

他にもまだ手練がいるのかいオーマ?

ええ···まぁ

俺の従兄弟で玄宥様の血を俺よりも濃く受け継いだ奴が···

なるほど···

櫻井家は現在も安泰のようだ

黒鉄も行くんだよな?
ああ···
それにしたって少人数には変わりないんだ。鬼族殲滅については状況次第にする必要があるよ夜叉丸
あ、ホシ猫。

てめぇの存在をすっかり忘れてたぜ

いやぁ、赤髪がしつこくてねぇ··

駅までで良いって言っているのに家まで送るとか言い出して

危なくここまで一緒に来る所だったよ
ふん、連れてくれば良かったではないか。わしが追い払ってくれる
ふむ。確かにそれはそれで面白いね
···········

··ところで

なぜ鬼化しているんだ夜叉丸

ふん!読者サービスだ!!
······ちょっと何を言っているのか分からないね



あ、因みにヨーコさんにも来てもらった方が百人力なんだけど····
まぁ、確かにそうかもしれんが···

あいつは腹がいっぱいになれば何もしなくなるからな··ただ邪魔なだけだ

ヨーコだと?
は、はい

玄宥様はヨーコさんをご存知ですか?

あぁ、勿論知っている

だがヨーコは九尾にしては心根が優しすぎるフシがある···

来ない可能性が高いぞ
な、なるほど···

確かにそうかもしれません

オーマ!サッサとイトコを呼び出せ!

緑頭が意識を取り戻しちまうぞ

っ!!

わ、分かった――――



こうして夜叉丸たちは、玄宥の力に依って鬼の世へ行く手段を得る事が出来、いろは奪還へ向けて準備を進めて行くのだった――――




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

名前 姫城 いろは(ひめぎいろは)

年齢 20歳

職業 大学生


都内ではあるが、県境で沿岸にある集落出身。その集落には毎年行われる豊年祭があるが今年は何故かその豊年祭にいろはが招待を受ける····

名前 姫城 花梨(ひめぎかりん)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの従姉妹

いろはのご近所に住んでいて、小さい頃から姉妹のように育ってきた。いろはにとって大切な存在。

名前 夜叉丸(やしゃまる)

年齢 不明

職業 不明


謎だらけの青年

名前 ホシ猫

年齢 不明

種類 妖怪


妖猫『仙狸(センリ)』人型バージョン

化け猫の類い。人の精気を喰らう必要があるため、死にたくても死ねない夜叉丸の側で精気を拝借している。

名前 黒鉄(くろがね) 

年齢 656歳

種類 妖怪


妖怪『猫又』の人型バージョン

巷では有名な超級百鬼。飼い主の「黒崎陵」とは600年前の記憶を共有しており、唯一無二の存在。当時の二人の事情は『百鬼夜行』に記されている。

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)

年齢 60歳

職業 「黒猫マート」の店長


黒鉄の飼い主

24Hコンビニ「黒猫マート」の店長で、黒鉄の飼い主。迷い猫を保護し育てている。黒鉄とは600年前の記憶を共有しているため、黒鉄からは昔の名前「佐助」で呼ばれている。

名前 如月 歩夢(きさらぎあゆむ)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの元彼

いろはと同じ大学に通う元恋人。色々あったが結局は今でもいろはの事を引きずっている。

名前 佐伯 怜奈(さえきれな)

年齢 21歳

職業 大学生


いろはの元親友

昔はいろはと仲が良かったらしいが、いろはへの嫉妬心が強いため何かと嫌がらせをしてくる性悪女。

名前 新羅 咲哉(しんらさくや)

年齢 20歳

職業 大学生


如月 歩夢の友人

掴み所のない性格だが、何故か女の子からはモテる。たまに闇が垣間見える事があるため歩夢は少し警戒している。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

種類 妖怪


妖怪『九尾の狐』の人型バージョン

狐の姿になる事は殆んど無い。

大昔に人から命を救われている為、人を襲わず同族を食糧としている。大食間であり、その力は脅威と言われている。

名前 北条 莉桜(ほうじょうりお)

年齢 25歳

職業 図書館勤務(公務員)


温厚で優しい口調が相手に好印象を与えているが、実際は周りの事や人に興味がなく、相手がどう感じようと全く構わないタイプ。だがやっぱり優しいのでモテている。

名前 伊吹 逢馬(いぶきおうま)

年齢 24歳

職業 祓い屋&心理学者


両親が極度な霊感体質であり、自らも見事に受け継いだ為、祓い屋家業を営んでいる。大学では心理学を専攻していたのでたまに心理学者としての仕事もしつつ生計を立てている。未だに独身。

名前 十朱 真那(とあけまな)

年齢 24歳

職業 管理栄養士&イタコ


本業は管理栄養士だが、今では貴重な存在である「イタコ」の後継者。本人はイタコであることが嫌な為、実家を継ぐのを放棄して伊吹家に居候している。その代わりに逢馬の仕事を手伝わされて結局イタコをやる羽目になっている。

名前 比企 夜叉丸(ひがやしゃまる)

年齢 10歳

職業 人斬り一家


約700年前、まだ人だった頃の夜叉丸。

親に捨てられ死ぬ間際に比企家の頭首である藤治(とうじ)に拾われ、人斬りとして育て上げられる。

名前 比企 藤治(ひがとうじ)

年齢 32歳

職業 人斬り一家


約700年前、死にかけていた夜叉丸を拾って人斬りとして育て上げるオッサン。

比企家の頭首にして凄腕の剣客。

名前 比企 氷月(ひがひづき)

年齢 10歳

職業 比企家の家事全般


比企家頭首である藤治の娘。

母親は既に他界しており、比企家に住む男共の面倒や家事など全てを担っている。

名前 比企 白夜(ひがびゃくや)

年齢 25歳

職業 人斬り一家


人斬り一家のリーダー的存在。比企家に住んでおり、戦では100人斬りを達成している剣客。左目は損傷し隻眼となっている。

名前 坂本 瑠迦(さかもとるか)

年齢 24歳

職業 調理師


いろはのバイト先である、古民家カフェのマスター。最初はせっかちで強引なイメージだったが、実は優しくて空気の読める爽やかなイケメン。野菜作りが趣味で自家製野菜を店で提供している。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

年齢 不詳

職業 カルラ様の側近


鬼族の頂点であるカルラの側近。真面目で忠実な性格だが、人をおちょくった様な一面があり、いつもカルラに消されそうになっている。あだ名の由来はその性格がタマネギ部隊に似ているためだと言われている。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

etc


廃炉の人型バージョン。趣味が中々良いためイケメンになるが、その性格は変わらない。

名前 迦楼羅(かるら)

年齢 不詳

職業 鬼族の長


全ての鬼をまとめる鬼族と言う貴族の頂点。しかし自分の一族である鬼族にも殆んど興味がないため、鬼狩りに仲間を狩られても面倒くさい程度にしか思っていない。取り巻きにどやされて仕方なく鬼狩りを追い払っている。

名前 姫城 奈瑞菜(ひめぎなずな)

年齢 23歳

職業 料理人


200年程前の時代の中、カルラと出会う女料理人。見た目はとても可憐たが過去の経緯から極度の男性不信。しかし惚れっぽいため、いつも簡単に騙されてしまうようなちょと残念な女性。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色