第112話「廃炉の能力」
文字数 1,418文字
《鬼の世》
タマネギ、陰陽師共はどうなった？
はいカルラ様。陰陽頭(おんようのかみ)共がブチ切れて襲撃してくることは分かっておりましたので
備えを万全にし、無事に撃退致しております
ほう···、では人間共の戦力は削いだと言うことだな？
ええ···、人の世の中心地に陰陽頭が集中しておりましたので、それらは全て再起不能かと
よし。
所で目一鬼は現在どうなっている？
···ヤツだけはどうにも扱いが難しいですね。腹が減ったとまたしても暴れ始めております
ふん、暫くはそのまま繋いでいろ
はい
···だが、面倒な事にまた奇襲される可能性がある
····あ、もしかして〜··
当然、鬼狩りだ
あぁ〜···、やっぱり〜
その時は、目一鬼を連れて行け。
あわよくば鬼狩りを喰ってしまえば良い
は、はい···
万が一、劣勢になる場合は··何でも良いが骸を(ムクロ)を用意しておくことだ
っ！！！！
多少、手を貸してやらんこともない
カルラさま···っ！
それから―――――
《蔓の間》
は、廃炉って···
以前に玄宥様が仰っていた面白い能力の鬼の幹部の事ですよね？
ああ、そうだよ
では、能力がイマイチ分からないと言うのは一体どういう意味···
あいつは食えない奴だ。
飄々としていると言ったろ？
は、はい····
廃炉は自身の能力を、自らの意志で別の能力に上書きしている
·····え？！
っえ？！
上書き？
その黒鬼の能力は自分で違うモノに変えられるって事かい？
そうだ。しかしその上書きについて全く条件が無い訳ではないだろうが··
へぇ、だからイマイチ分らねえのか
それをもし戦いの最中にされてしまうと、弱点を探す前に変えられてしまって勝機が下がるね··
全くだよ。
それで陰陽頭達は手も足も出なかったのかもしれない
最強じゃねぇか！さすがは幹部だぜ！！
夜叉丸···、ホメてる場合じゃ··
だがなぁ、別に何の問題もねえだろ
···なに？
········
敵が何であれ殺られる前に殺りゃあいいだけなんだからな！！
········っ！
····やれやれ
ふ···っ、君はそうやって今までずっと勝ち続けて来たんだな
いや！
単細胞だから死にかける事も結構多かっ····
だからテメェは黙ってろコラ猫コラ
あぁ···、そうか
ホシ猫、君の能力もあるんだな···。これはかなり先が見えてきたぞ
っ！！！
···ゲンユー、申し訳ないのだけれど··ホシ猫は能力を使えないんだ
っ？！
ホシ猫の能力はホシ猫の周りにいる者達全てに影響を及ぼしてしまう··
そ、それって···
·········
君たちの事も、殺し兼ねないと言うことだよ
···なるほど
そうか、すまなかったなホシ猫
········
ま、ホシ猫の能力なんざ無くたって余裕だろが！
···だと良いんだけど
《城下町》
···········
平安時代よりずっと昔から、夜中には必ず鬼が現れるとされているこの時代。
人が夜中に一人歩きをする事など滅多に無くなっていた。
だがホシ猫は人型で夜中に町をうろついていた。
··········
(今日は少し鬼の気配がある)
現在、夜八ツ(丑の刻)現代で言う午前二時だ。
そろそろ現れるのではないかと、ホシ猫が鼻を効かせていたその時だった
お嬢さん···、こんな夜中にお一人で何処へ行かれるのですか？
····っ！
今晩は
やあ、今晩は。
これから野暮用があってね、知り合いの家まで行くところなんだ
では、宜しければ私がお送りしましょう
···········
