第94話「ホシ猫と夜叉丸」
文字数 1,265文字
《町外れ》
·········
········
···ヒャッキって
何かな？
あぁ？
とぼけんじゃねーぞ猫！
人の言葉を喋る猫なんざこの世に百鬼以外有り得ねぇんだよ！
まぁ、確かにホシ猫は普通の猫ではないよ？
当たり前だ！
でもヒャッキなんて聞いたことないね。ジジイはホシ猫の事をアヤカシと呼ぶけど
ｲﾗｯ
そりゃどっちも同じ意味だ！！
同じ意味？
ちょっと何を言っているのか分からないね
おまっ
ナメてんのか？！
ホシ猫を助けてくれた事についてはお礼をするけど、ホシ猫は君の事はあまり好きではないな
はぁぁっ？！
そりゃこっちのセリフだぜ！！
君の持っている刀には沢山の人の魂が絡み付いているし、君は呪われているようだ
っ！！！！
人には色々と事情があるものだとジジイが言っていたから、深くは詮索しないけども
········
···取り敢えず、助けてくれたお礼がしたいからジジイとホシ猫の家に招待するよ
いらねーよ
んなもんは！
まぁまぁそう言わず
てめっ、さっき俺のこと好きじゃねえ言ってたよな？！
言ったよ？
好きではないが、お礼はするさ。
·········
《町外れの家》
ただいま
おぉ··、ホシ猫か
無事に戻ってきたようじゃのう
·······
ジジイ、お客さんだよ。
おやおや？早速お友達が出来たのかの？
いや···、実はホシ猫はジジイの言い付けを守らなくて、人間に捕まってしまったんだ
なんと···っ！
その時に助けてくれたのが彼だよ
···別に
たまたま通りかかっただけだ
そうかそうか
それは本当に良かった。ちゃんとお礼をしなければならんな
うん。じゃあホシ猫は川で魚を捕まえてくるから、君はユックリくつろいでて
···ったく、そんなんいらねぇっつってんだよ
そこの川はとてもキレイで魚も大きいんだよ。そろそろ晩御飯の時間帯だし、今日は泊まって行けば良い
おお、そうじゃなあ！賑やかなのは良いものじゃ
·······
それに···、君は旅をしているようだしね。泊まる所があるのは良いものだよ？お風呂もあるし
····まあ、確かにそれはそうだな
《町外れの家》
ねえジジイ、ホシ猫も料理がしたいな
フォッフォッフォッ
そりゃあ、ホシ猫が人の姿になるしかないのう
っ！！
ホシ猫は家の裏にある川で大きな鮎を沢山捕まえてきていた。
畑には野菜も自家栽培しているため今日の晩飯は鮎のぶつ切り鍋と囲炉裏で焼く鮎の丸焼きだった。
主食はこの時代にしては珍しく、ジジイは米を炊いている。
米を作る知識を何故かジジイは持っていた。
····米があんのか？
ジジイは自分で米を作ることが出来るんだ。町の人達は米なんて買えないし作れないらしいよ
···俺が以前住んでいた所でも米を買っていたが、そこは普通じゃ考えられねえくらい金がある家だった
君の家は裕福だったんだね？
···········
そんなんじゃねぇよ··
ホッホッホッ
今日は久々に賑やかで楽しいのう
そう言えば、君の名前をまだ聞いていなかったね。ホシ猫はホシ猫って言う名前だよ。ヨロシク
俺は···、夜叉丸だ
こうしてホシ猫と夜叉丸は出会うのであった。
