第203話「巡り合わせ」
文字数 3,264文字
―PM12時30分―
《桐生家―茶の間》
本になっているんですか？！
遊馬さんも蓮さんも父親同士のそんな約束など知る由もないでしょうし
(カイトも結構天然タラシだと思うんだけど····血筋かな？)
話を戻すのですが―――――
今更自分の命など惜しくも無い
桐生蒼羽は···その時に····？
羅刹に喰われてその時に、亡くなられている―――――
現在の彼がどうしているのか――――――――
―PM2時10分―
《区塀良―ショッピング街》
くべいらショッピング街？！
この辺りで少し待ってみましょう
(何を？！)
(本当に来るのかな？こんなにタイミング良く···昨日も来てたのに··)
来ていましたね
区塀良ショッピング街····
ここには古い商店街が多く並んでおり、私達がいる歩道の反対側には先日テレビで紹介されていた老舗のパン屋さんがある―――――
お昼時間を過ぎてもお客さんの数が一向に減る気配がない程の人気店だ
その大人気パン屋さんの前に、見覚えのある後ろ姿があった
お昼は食べたばかりだし、あまり甘やかすと怒られるか――――――
(本当にいたわ···)
ふいにこちらへと気付いた彼は、軽く会釈をするとパンは諦めたらしく私達がいる方へと歩いて来て下さった
また会いましたね
家を出る時はこの子も元気だったのですが――――
いつもご一緒にお散歩をされているのですね
桐生家の僧侶様はやはりおモテになられるのですねぇ
修行僧が女性をはべらせてたらおかしいでしょう？！
私なんかゴミの様なもんです！！
ってか、凪さんがゴミなわけ無いでしょ！
なので変な勘違いはしないで頂きたいです！！
いや、すみません···そんなつもりで言ったわけでは無かったのですが···
ごっ、ごめんなさい―――私――っ
構いません
私達は過去の貴方と、少なからず関わりのある人間なのです
とても懐かしい感覚に駆られると共に、辛く哀しい感情になります
きっと、今の生で罪を償えと言う神の思し召しなのかもしれませんが···
遊馬は····、遊馬はあの子と―――――――
貴方が亡くなったあと、19歳になったお二人は出会っています
それを知りたがる権利などありません
貴方には知る権利があります
まさか―――――
桐生家へ····私などが行っても良いのですか？
その後の遊馬さんのお話を聞いて頂きたいですし――――
この子が起きるまで···と言うことで
喜んで！
