第160話「摩訶摩瑜利(マカマユリ)」
文字数 2,341文字
《春の闇》
―夜叉丸VS迦楼羅―
と、その時だった――――――
そう言うと、カルラは優しくナズナを抱きしめた――――――
そしてその時、既に発動していたレイの結界は最大限に範囲を広げたまま、白く眩い光を放ち始めた
今にも結界内に飛び込んで行きそうな夜叉丸を、オーマが必死で静止する
そうしている間にも結界の光は徐々に強さを増していき、結界内に取り残された2人だけが眩い光で覆われていくのを、取り押さえられている夜叉丸にはただ見ている事しか出来なかった
そして眩い光が増していく中、結界内にはユラユラと揺らめく強大な何かの影が顕在化し始めていた
ソレはとても優しく、慈悲深いオーラを纏っているような神々しささえも感じさせる
オーマが暴れる夜叉丸をはがいじめにしていた丁度そのとき、玄宥が現れ、何やら状況を確認している様子だ
その時―――――
結界内で揺らめいていた影が、春の闇を飲み込んでしまいそうな程に強大な存在となり、その姿を現した
それは····
孔雀の羽根を身に纏い、4本の手にはそれぞれ倶縁果、吉祥果、蓮華、孔雀の尾を持つ。
明王の中でも唯一慈悲深く菩薩形の、それはまさにレイが招来した「孔雀明王」その姿だった