第101話「大切な存在」
文字数 2,125文字
《蕎麦屋の裏の丘》
ホシ猫は、大きな桜の木の下にひっそりと建っているお墓へ近づいてみることにした。
黒い何かが気になって仕方がなかったのだ。
お墓の近くまで行くと、お墓の前でユラユラと揺れ動いていた黒い何かはハッキリとした形となって佇んでいた。
それは――――··
ホシ猫は何処に隠し持っていたのか、大きな巻物を取り出し、草原の上に広げると調べ物を始めた。
その様子を黒猫はジ―――っと見つめている。
巻物を調べながら黒猫に話しかけ続けるホシ猫を、黒猫はジ――――――っと見つめたままだ。
その時····
突然人の言葉を発した黒猫に驚いたホシ猫は顔を上げた瞬間、勢い余って首を捻ってしまった。
黒猫はまだ自分の状況を理解しきれていないようだった
と、その時····
そう言って夜叉丸は丘を下っていった
こうして、ホシ猫と黒鉄の家族に対する異常とも取れる程の愛情はこの時に深まって行くのだった。
因みに····、この後もホシ猫と夜叉丸はずっと行動を共にするが、ホシ猫の夜叉丸に対する家族愛は一切生まれないのであった····