第142話「動揺」
文字数 1,581文字
《春の闇》
その時、カルラはおもむろに刀を取り出し夜叉丸に見せた―――
その刀は···お前があの日、家族を皆殺しにした後で破壊して捨て去った、父上の名刀「鬼丸」
そう言うと氷月(ひづき)は、手に持っていた刀を振り上げ、夜叉丸目掛けて振り下ろした――――
動揺からか氷月の攻撃を避けられない夜叉丸を援護すべく玄宥は素早く真言を唱え始めた
玄宥は素早い詠唱で夜叉丸の周りに結界を創り出し、氷月の攻撃を防ごうとしたその時だった――――――
玄宥の邪魔に入ったのは廃炉だった
と、その瞬間だった――――
夜叉丸の足元には完成された真言結界が紅く発光しながら浮き上がり、夜叉丸を守るかのように強烈な光を放ち始めた
氷月はその強烈な光に堪らず身を翻す