第90話「ホシ猫の好奇心」
文字数 1,108文字
《町外れの家》
ホシ猫がジジイに拾われてから、ひと月が経っていた。
ホシ猫はジジイから色んな書物を読んでもらったり、近くの川で魚の取り方を教えてもらったりと楽しく暮らしていた。
ジジイは口にして言わないけれど、人の寿命が短くて儚いことはホシ猫も分かっている··。
通称「見限りの森」には人も頻繁に捨てられていたからだ。
あの森は人が生きて行くには過酷すぎるのだ。
標高が高いだけではなく、ジジイの言うアヤカシと言うモノタチがかなり住んでいる。
中には人を食糧としている猛獣もいる。その猛獣らは人が捨てられるのを心待ちにしているのだ。
言わば、あの森は人の死骸だらけの森だった。
それに···、人の寿命は短くてホシ猫の寿命は長い···。
ホシ猫は、その先に訪れるであろう事は考えないようにするしかなかった
人の世でアヤカシが生きて行くのはとても面倒くさいものだと思い始めたホシ猫であった···。