第16話「遠い記憶」
文字数 1,161文字
カナカナカナカナ――···
あれはいつの頃だっただろう··
私がまだ幼かった時··
夏の夕方····
いつものように花梨と一緒に遊んでいた
カナカナカナカナ―――···
カナカナカナカナ―――····
でも先に帰るなんて事は出来ない
··誰もいない
夕方の人魚神社は幼かった私にはあまりにも寂しく怖い場所に変わっていた
その時····
···あの人は誰だったっけ
不安しかなかった私に優しく声をかけてくれた人··
晴れた夕方に和傘をさしていた
暗くて顔がよく見えない··
その人の優しく低い声は私に安心感を与えてくれる··
その後私は····
その優しい人と一緒に······
··········
ニャ――――――――――ン
ガチャ――··
···怜奈にお腹を刺された時、私は1度死んだのか··
あの時はメチャクチャ痛かった
ホシ猫さんは心臓が止まっていたと言っていた···
でも夜叉丸に首を切断された時、私の意識はハッキリしていたし体も動いた···
痛みもまるで覚えていない···
何が違うのだろう?
それに···