第152話「番外編∶廃炉の覚悟」

文字数 1,742文字






        ―あれから2週間後―

        《高架下―屋台村》

ドキドキドキドキ



あの後―――――


廃炉は自分がどう行動すべきなのか誰かに相談したくて仕方がなかった

しかし、鬼族にそんな恋愛相談など出来る相手がいるはずもない

(廃炉は立場上幹部であるため)


カルラにもこれ以上の迷惑はかけられなかった····



そこで、廃炉が取った行動は―――――






       《土橋の母―占いの館》

おや·····

いらっしゃい

··········
どうぞ、お入りください
し、失礼するッス···
さあ、お座りくださいね··

緊張せずにリラックスして―――

······は、はい
····ジ―――――
······?!
あら···、貴方―――――
っ?!
····チャクラの数が異常に多いですね
チャ、チャクラッスか?!

(チャクラって何だよ!)

ええ···、チャクラの数です
チャクラとはサンスクリット語で、「輪」又は「車輪」と言う意味ですが···、これは人の体には必ずあるエネルギーポイントです
人のエネルギーが集結し、出入りするポイントなのですが、通常チャクラの数は7つと決まっております
···········
しかし、貴方の体にはそのチャクラが数十カ所あるようです
そ、それが多いとどうなるッスか···
····どうにかなる訳ではありませんが、人では考えられない数である事は確かです
っ!!!!
チャクラが多い場合、外からのエネルギーを収集する能力に長けており、またそれを貯める器が大きいと言う事です
いわゆる、戦いの場などに於いて実に有効かつ有能であると言う事になります
そ、それは有難う御座いま―――――
しかし、現代に於いて戦いの場など戦争でも起きない限りは有り得ません
っっ!!!!!
今現在では使い道はなさそうですね
そっ、そうッスね!!!?
余談、申し訳ありません――――

それでは、本題に入りましょうね

は、はいッス····
ジ――――――
········

(この間が嫌なんだよ···)

貴方····

恋愛関係で悩んでおいでですね···

っっ!!!
····想いを寄せている相手がいるようですが···、彼女と貴方の間には大きな障害があるようです
ワッ、ワタシは一体どうしたら良いッスか!?
·······
彼女に想いを伝えたいのは山々なんッス····、でも···今のワタシにはどうすることも―――――
それを教えて欲しいッス·····
···落ち着いて下さい
っ!!!
あなたのそのお悩みは―――――
っ?!
以外とそんなに悩むほどの事でもないかもしれませんよ?
··········
えぇぇっっ?!
彼女には貴方以上の秘密があるようです····
····え?!
貴方は彼女の事をどれくらいご存知ですか?
っ!!!!
年齢、産まれた場所、生年月日、家族構成、好きな事、好きな場所、趣味····等です
っ!!!
まさか···、何も聞いていないのですか?
····ね、年齢は··聞いたッス··
それだけですか···
····女性に根掘り葉掘り聞くのは失礼に当たるのかなと思ったッス····
そんな事では、彼女は自分に興味が無いのかとお思いになるのでは?
········
貴方はもっと積極的になっても大丈夫ですよ?彼女はとても優しい方ですから
っ!!
それから···、彼女は外見も内面もとても素敵な女性です。今のままの状態にしておくと他の男性に取られてしまう可能性があります
ガーーーーン!!!
もし貴方が、他の男性に彼女を取られたくないと心から思うのであれば、想いは伝えるべきだと私は思います
···で、ですが――――

私には彼女へ隠している事があるッス

その事ですが·····
彼女は、相手が貴方であれは全てを受け入れる覚悟があるようです···
っ!!
···初めから何も悩む事など無かったのかもしれませんね
···············
今度は貴方が覚悟を決める番ではないでしょうか?
っ!!!!
出来るだけ早めに気持ちを伝えるようにしてください。でなければ····、ことごとく邪魔が入りますよ
っ!!!!
わ、分かったッス!!!!

有難う御座いました!!!

ご検討を祈ります····
···それでは、お会計¥8,900(税込)になります
!!!!!!

(高い!!!)



そうして、廃炉はペラペラの覚悟を決めて現在に至っていた―――――








続く

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

名前 姫城 いろは(ひめぎいろは)

年齢 20歳

職業 大学生


都内ではあるが、県境で沿岸にある集落出身。その集落には毎年行われる豊年祭があるが今年は何故かその豊年祭にいろはが招待を受ける····

名前 姫城 花梨(ひめぎかりん)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの従姉妹

いろはのご近所に住んでいて、小さい頃から姉妹のように育ってきた。いろはにとって大切な存在。

名前 夜叉丸(やしゃまる)

年齢 不明

職業 不明


謎だらけの青年

名前 ホシ猫

年齢 不明

種類 妖怪


妖猫『仙狸(センリ)』人型バージョン

化け猫の類い。人の精気を喰らう必要があるため、死にたくても死ねない夜叉丸の側で精気を拝借している。

名前 黒鉄(くろがね) 

年齢 656歳

種類 妖怪


妖怪『猫又』の人型バージョン

巷では有名な超級百鬼。飼い主の「黒崎陵」とは600年前の記憶を共有しており、唯一無二の存在。当時の二人の事情は『百鬼夜行』に記されている。

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)

年齢 60歳

職業 「黒猫マート」の店長


黒鉄の飼い主

24Hコンビニ「黒猫マート」の店長で、黒鉄の飼い主。迷い猫を保護し育てている。黒鉄とは600年前の記憶を共有しているため、黒鉄からは昔の名前「佐助」で呼ばれている。

名前 如月 歩夢(きさらぎあゆむ)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの元彼

いろはと同じ大学に通う元恋人。色々あったが結局は今でもいろはの事を引きずっている。

名前 佐伯 怜奈(さえきれな)

年齢 21歳

職業 大学生


いろはの元親友

昔はいろはと仲が良かったらしいが、いろはへの嫉妬心が強いため何かと嫌がらせをしてくる性悪女。

名前 新羅 咲哉(しんらさくや)

年齢 20歳

職業 大学生


如月 歩夢の友人

掴み所のない性格だが、何故か女の子からはモテる。たまに闇が垣間見える事があるため歩夢は少し警戒している。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

種類 妖怪


妖怪『九尾の狐』の人型バージョン

狐の姿になる事は殆んど無い。

大昔に人から命を救われている為、人を襲わず同族を食糧としている。大食間であり、その力は脅威と言われている。

名前 北条 莉桜(ほうじょうりお)

年齢 25歳

職業 図書館勤務(公務員)


温厚で優しい口調が相手に好印象を与えているが、実際は周りの事や人に興味がなく、相手がどう感じようと全く構わないタイプ。だがやっぱり優しいのでモテている。

名前 伊吹 逢馬(いぶきおうま)

年齢 24歳

職業 祓い屋&心理学者


両親が極度な霊感体質であり、自らも見事に受け継いだ為、祓い屋家業を営んでいる。大学では心理学を専攻していたのでたまに心理学者としての仕事もしつつ生計を立てている。未だに独身。

名前 十朱 真那(とあけまな)

年齢 24歳

職業 管理栄養士&イタコ


本業は管理栄養士だが、今では貴重な存在である「イタコ」の後継者。本人はイタコであることが嫌な為、実家を継ぐのを放棄して伊吹家に居候している。その代わりに逢馬の仕事を手伝わされて結局イタコをやる羽目になっている。

名前 比企 夜叉丸(ひがやしゃまる)

年齢 10歳

職業 人斬り一家


約700年前、まだ人だった頃の夜叉丸。

親に捨てられ死ぬ間際に比企家の頭首である藤治(とうじ)に拾われ、人斬りとして育て上げられる。

名前 比企 藤治(ひがとうじ)

年齢 32歳

職業 人斬り一家


約700年前、死にかけていた夜叉丸を拾って人斬りとして育て上げるオッサン。

比企家の頭首にして凄腕の剣客。

名前 比企 氷月(ひがひづき)

年齢 10歳

職業 比企家の家事全般


比企家頭首である藤治の娘。

母親は既に他界しており、比企家に住む男共の面倒や家事など全てを担っている。

名前 比企 白夜(ひがびゃくや)

年齢 25歳

職業 人斬り一家


人斬り一家のリーダー的存在。比企家に住んでおり、戦では100人斬りを達成している剣客。左目は損傷し隻眼となっている。

名前 坂本 瑠迦(さかもとるか)

年齢 24歳

職業 調理師


いろはのバイト先である、古民家カフェのマスター。最初はせっかちで強引なイメージだったが、実は優しくて空気の読める爽やかなイケメン。野菜作りが趣味で自家製野菜を店で提供している。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

年齢 不詳

職業 カルラ様の側近


鬼族の頂点であるカルラの側近。真面目で忠実な性格だが、人をおちょくった様な一面があり、いつもカルラに消されそうになっている。あだ名の由来はその性格がタマネギ部隊に似ているためだと言われている。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

etc


廃炉の人型バージョン。趣味が中々良いためイケメンになるが、その性格は変わらない。

名前 迦楼羅(かるら)

年齢 不詳

職業 鬼族の長


全ての鬼をまとめる鬼族と言う貴族の頂点。しかし自分の一族である鬼族にも殆んど興味がないため、鬼狩りに仲間を狩られても面倒くさい程度にしか思っていない。取り巻きにどやされて仕方なく鬼狩りを追い払っている。

名前 姫城 奈瑞菜(ひめぎなずな)

年齢 23歳

職業 料理人


200年程前の時代の中、カルラと出会う女料理人。見た目はとても可憐たが過去の経緯から極度の男性不信。しかし惚れっぽいため、いつも簡単に騙されてしまうようなちょと残念な女性。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色