第44話「氷月の用心棒」
文字数 926文字
－AM8時50分－
《比企家》
おい、夜叉丸
いるか？
·······
·····なんすか？
今日は氷月の買い入れに、用心棒として付き添ってやれ
·············
(マジかよ···)
そろそろ戦が始まる。辻斬りが出始める頃だ
(え～···)
·····嫌なのか？
い、いや····
俺よりは白夜さんの方が良いんじゃないかと思って···
言っただろ？戦が始まるんだ
白夜は準備に追われている
········
了解っす···
お前···、変わってんな
····何が？
うちに住む男供なら、氷月の付き添いは喜んで行くんだがな
·········
正直、女のお守りなんてご免だ···
俺だって早く戦に出たいし···
······ふっ
そうか、そいつぁ良い心掛けだな
だがお前はまだガキすぎて戦には早ぇんだよ。無駄死にさせる訳にゃいかねぇからな
·············
····そうだな
今から５年だ、死に物狂いで剣術を磨け。今はまだ戦には早ぇが···
人斬りの依頼なら、頃合いを見て
お前にもやらせてやる
っ！！！！
お前はガキのくせに、人を斬ることに恐れをなさねえからな···その辺はかってやる
(やった···！)
···て事で
今日は氷月の用心棒頼むぞ
············
うす··
－AM10時30分－
夜叉丸ご免なさい、私の付き添いなんかさせてしまって
いや···、別に構わねえよ
(オッサンには逆らえねえし··)
ふふ、でもね実はちょっとだけ嬉しいんだよ？
····何が？
うちの一家の男性陣は、みーんな私より年上の方ばかりだから···、年の近い子ともお出掛けしてみたかったの
へぇ····、なら良かったよ
(···俺はただの用心棒なんだがな)
·········
····でも
夜叉丸はつまらなそうね
そ、そんな事は·····
ねぇし··っ
そぅお？
·······だったら
········？
今日は私のお買い物にも付き合ってもらうわね？
·····え？
(それって何をすりゃいんだよ？)
ほらっ、あそこに可愛いカンザシが売ってるよ！早く行こう！
え····っ、ちょっとま···
そう言うと氷月は、楽しそうな笑顔で俺の手を引きなが様々な店を見て回っていた
···何が
そんなに楽しいのか分からねぇ··
