第116話「陰陽師の力」
文字数 1,335文字
《城下町》
夜叉丸とヤトが作戦を決行したその時、鬼達も能力発動中の廃炉を守ろうと応戦している
廃炉の能力は既に発動した――
今止めるとなると、この距離から廃炉に接近しボコるしかないのだが結構な距離がある
その上、鬼の衛兵が黙って居るはずもない
夜叉丸に釘付けで居てくれれば気付かれずに廃炉の元まで行けるかもしれないが···
しかしあの波紋からは既に武器の切っ先が出始めており、玄宥が止めに入る時間は正直なさそうだった
夜叉丸は真っ先に菫鬼(キンキ)の方へ走り出した
夜叉丸は幼少期から剣技の才能に溢れていた
その上、反撃された時の反応が尋常では無い程に早いため、誰一人として夜叉丸を斬ることなど出来なかった
そしてその才能は、鬼化した事で更に開花することになる
菫鬼(キンキ)が夜叉丸に殺られる―――――
そう思った時だった
立ちはだかったのは目一鬼だ
目一鬼はその図体のデカさで、菫鬼の背後から菫鬼を覆うようにして目の前にいる夜叉丸目がけてデカいナタを振り下ろした
ヤトの真言と共に、菫鬼と目一鬼の頭上には五芒星の白緑(びゃくろく)な結界が美しい光を放ちながら広がっていく
そして白緑結界からは、同じように光を放ちながら鎖のようなものが凄い勢いで出現した
そして、光の鎖はあっと言う間に2鬼を縛り付けたのだった
ヤトは内心ドキドキしていた―――
廃炉の攻撃が来る事を察し、玄宥はサッと御札を取り出した
そして自らの人差し指に傷を付け、御札に血で文字を書いていく
そこに書かれた文字は―――――