第139話「激闘」
文字数 1,839文字
《春の闇》
夜叉丸の言葉を遮るかのように入ってきたのは、不安げな表情のナズナだった――――
タッタッタ―――――――ッ
《レイVS鬼女(暁鬼ギョウキ)》
レイの刀傷により、大量に出血している鬼女(暁鬼ギョウキ)は、血溜まりの中で既に瀕死状態に陥っていた
レイの刀「恵比寿丸」が斬り裂いた筈の暁鬼(ギョウキ)の首の傷は見る間に塞がり、傷跡も残さずに消え去っていた
しかし其れだけには留まらず、あれ程の出血により今の今まで死の間際だった暁鬼(ギョウキ)はまるで何事も無かったかのように生気を取り戻していたのだった
暁鬼(ギョウキ)は胸元から扇を取り出すと、優雅な舞いを踊るかのように扇を振りかざした―――
それと同時に、無数に咲き誇る桜の花びらが渦を巻きながら桜吹雪へと変わっていく
レイは暁鬼(ギョウキ)が巻き起こした桜吹雪に完全に囲われてしまった
《オーマVS鬼女(冰鬼ヒョウキ)》
一方オーマは、もう一体の鬼女「冰鬼(ヒョウキ)」と激戦を繰り広げていた
そう叫んだオーマの両腕には赤い梵字が浮き上がり、紅蓮の光を放つと見る間に炎を纏い始めた
そう言うと、オーマは燃え盛る両手を地面に付けた
その瞬間、冰鬼(ヒョウキ)の足元には紅蓮に光る結界円陣が出現し、円陣全体に下から上へと炎炎たる火柱を噴き上げたのだった